メタン:未来の燃料、環境への影響
火を付けるとよく燃える気体、メタンについて詳しく見ていきましょう。メタンは、真ん中に炭素という小さな粒があり、その周りに水素というさらに小さな粒が四つくっついた構造をしています。ちょうどおもちゃの積み木の中心に大きな積み木を置き、その周りに小さな積み木を四つ配置したような形です。このくっついた粒々のことを分子といい、メタンの分子は炭素一つと水素四つでできています。これを化学式で表すとCH₄となります。メタンは普段は目に見えない無色の気体で、鼻を近づけても匂いはしません。空気より軽く、水にもほとんど溶けません。
メタンは燃やすとたくさんの熱が出るので、燃料としてとても役立っています。家庭で使っているガスコンロやお風呂を温める給湯器、そして大きな発電所でも、メタンを燃やして電気を作っています。このガスは都市ガスと呼ばれ、その主な成分がメタンです。また、天然ガスもほとんどメタンでできています。
メタンは自然界のいろいろな場所で生まれています。例えば、田んぼや牛などの家畜の糞尿からも出てきます。これは、枯れた植物や動物の排泄物などが、酸素のない場所で微生物によって分解される時にメタンが発生するためです。このように、メタンは私たちの生活に欠かせないエネルギー源であると同時に、自然界の循環の中でも重要な役割を担っています。
ただし、メタンは地球温暖化の原因の一つとして心配されています。二酸化炭素よりも温室効果が高い気体なので、大気中にメタンが増えすぎると地球の温度が上がってしまうのです。一方で、メタンはバイオガスとしても利用できます。家畜の糞尿や生ゴミなどを発酵させてメタンを作り、エネルギーとして活用する技術は、地球に優しい再生可能エネルギーとして注目されています。つまり、メタンは使い方によっては環境問題を解決する鍵となる可能性も秘めているのです。