リターダー

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電磁式リターダー:未来のブレーキ技術

電磁式遅延装置は、電気を帯びた磁石の力を利用して乗り物の速度を落とす仕組みです。この装置は、電磁石が作る磁気の場と、回る金属の円盤との間で起こる現象を利用しています。金属の円盤が磁気の場の中で回転すると、うず巻状の電流が発生します。これをうず電流と呼びます。このうず電流は、金属の円盤の回転を邪魔する方向に力を生み出し、止まる力を働かせます。発生した熱は、円盤から空気に放出されます。 この仕組みは、摩擦を利用した従来の止め装置とは大きく違います。従来の止め装置は、部品同士が擦れ合うことで止まる力を発生させていますが、電磁式遅延装置は磁気の力を使うため、部品の擦り減りが少なく、長く使い続けられるという利点があります。また、長い下り坂などでブレーキを使い続けると、ブレーキの効きが悪くなる現象(フェード現象)が発生することがありますが、電磁式遅延装置ではこの現象が起こりにくいという利点もあります。そのため、安全性も高く、特に下り坂の多い山道など、ブレーキに負担がかかりやすい状況で大きな効果を発揮します。 電磁式遅延装置は、摩擦ではなく磁気の力を使うことで、摩耗を減らし、寿命を長くし、安全性も高めている画期的な装置です。下り坂が多い場所での走行が多い大型車両や、安全性が特に求められる車両などに搭載されることが多く、その効果は運転手からも高く評価されています。近年の技術革新により、装置の小型化、軽量化も進み、今後ますます普及していくことが期待されています。
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リターダー:大型車の安全を守る縁の下の力持ち

重い車や荷物を運ぶ大型車や路線バス、トラックなどには、減速を助ける特別な装置がついています。これを「リターダー」と呼びます。「リターダー」とは、速度を落とす、遅くするという意味の言葉です。ブレーキを助ける装置なので、補助ブレーキとも呼ばれています。急な下り坂や長い下り坂を走る時、もしブレーキだけを使うと、ブレーキが熱くなりすぎて効きが悪くなってしまうことがあります。これを防ぐためにリターダーが活躍します。リターダーを使うことで、ブレーキの負担を軽くし、ブレーキの効きが悪くなるのを防ぐことができます。 リターダーにはいくつかの種類があります。排気ブレーキは、エンジンの排気の流れを調整することで、車の速度を落とす仕組みです。エンジンブレーキの一種で、燃料を使わずに減速できるので燃費にも良い効果があります。流体リターダーは、オイルのような液体を使って車の速度を落とします。羽根車を液体の中で回転させることで抵抗を作り出し、減速させます。この種類のブレーキは、重い車を安全に止めるのに役立ちます。電磁リターダーは、電磁石の力で車の速度を調整します。電気を使い、発生する磁力で抵抗を作り出し減速させます。 これらのリターダーは、どれもブレーキの働きを助け、車の安全な走行に貢献しています。特に、重い荷物を積んだ大型車や、乗客を乗せたバスなどでは、安全を守る上で非常に大切な装置です。乗用車ではあまり見かけませんが、大型車にはなくてはならない重要なシステムといえます。下り坂でブレーキの効きが悪くなるのを防ぎ、運転手が安心して運転できるようにサポートするだけでなく、ブレーキの寿命を長くするのにも役立っています。
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永久磁石式リターダー:燃費と安全の両立

永久磁石式リターダーは、電気を必要としない永久磁石の力を利用して、ブレーキをかける補助を行う装置です。電磁石を使うものと基本的な仕組みは同じですが、電気を全く使わないという大きな違いがあります。 仕組みを詳しく見ていきましょう。まず、リターダーの中には金属でできた円盤(ローター)が入っていて、これが車輪の回転に合わせて回ります。この回転する円盤に、強力な永久磁石を近づけます。すると、金属の円盤の中に渦を巻くような電流が発生します。これを渦電流と呼びます。この渦電流は磁石の作る磁界と反発し合い、円盤の回転を遅らせようとします。回転を遅らせる力は、ちょうどブレーキをかけた時と同じように、車の速度を落とす力として働きます。 永久磁石を使うことの利点は、電気を必要としないという点です。電磁石を使うタイプのリターダーでは、磁力を発生させるために電気を流す必要がありますが、永久磁石ならその必要がありません。そのため、装置の構造が簡単になり、故障のリスクも低減できます。また、エンジンブレーキのように排気ガスを出すこともなく、環境にも優しい装置と言えます。 永久磁石式リターダーは、主に大型トラックやバスなどの大型車両に搭載されています。これらの車両は重量が大きく、下り坂などでスピードが出やすいため、ブレーキへの負担が大きくなります。そこで、リターダーを使うことでブレーキの負担を軽減し、安全性を高めることができます。特に長時間の坂道走行では、ブレーキの過熱による制動力の低下(フェード現象)を防ぐ効果が大きく、安全性に大きく貢献します。
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安全運転の要、リターダーとは?

『減速を助ける仕組み』とは、主に大型の車やバス、トラックといった車両に取り付けられる『補助ブレーキ』とも呼ばれる装置のことで、長い下り坂などで、ブレーキペダルを踏まなくても速度を調整したり、一定の速度を保ったりするのに役立ちます。 この装置は、摩擦を利用して減速する一般的なブレーキとは異なる仕組みで、排気ブレーキ、エンジンブレーキ、流体式リターダといった種類があります。 排気ブレーキは、エンジンの排気の流れを制限することで、エンジンの回転数を抑えて減速する仕組みです。アクセルペダルから足を離すと作動し始め、エンジン音の変化でその働きが分かります。 エンジンブレーキは、エンジンの圧縮を利用して減速を行う仕組みで、シフトレバーを低い段に切り替えることで、強いエンジンブレーキをかけることができます。こちらも排気ブレーキと同様にアクセルペダルから足を離すと作動します。 流体式リターダは、オイルなどの液体の抵抗を利用して減速する仕組みです。羽根車を回転させて発生するオイルの抵抗で、車輪の回転を抑えます。この装置は、特に大型車やバスなどに搭載されており、長時間のブレーキ操作によるブレーキの過熱を防ぐのに役立ちます。 これらの装置は、主なブレーキの働きを補助し、負担を軽くすることで、過熱によるブレーキの効きが悪くなるのを防ぎます。その結果、安全性が高まり、ブレーキの寿命も延びます。特に、長い下り坂や山道など、ブレーキを長時間使う必要がある場面では、これらの装置が大きな効果を発揮します。 つまり、『減速を助ける仕組み』とは、安全な運転を支える縁の下の力持ちと言えるでしょう。