リードバルブ

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エンジン

リードバルブの仕組みと役割

リードバルブは、薄い板状の弁を使って、空気の流れを一方通行にするための装置です。この弁は「リード」と呼ばれ、まるで家の扉のように開いたり閉じたりすることで空気の通り道を制御します。リードは、バネのようにしなやかに変形する薄い金属や樹脂などで作られており、普段は閉じている状態です。 エンジンのピストンが空気を吸い込むとき、ピストンの動きによってリードバルブの手前に空気が溜まります。この空気の圧力がリードに当たると、リードは押し上げられて開き、空気がエンジン内部へと流れ込むのです。まるで息を吹きかけると開く薄い扉のような仕組みです。 一方、エンジンが排気ガスを出すときには、ピストンの動きによってリードバルブの手前に排気ガスが溜まります。しかし、このときはリードの裏側から圧力がかかるため、リードはしっかりと閉じられます。リード自身の持つバネのような力と、排気ガスの圧力によって、リードは密閉状態を保ち、排気ガスが逆流するのを防ぐのです。 このように、リードバルブはシンプルな構造でありながら、エンジンの吸気と排気を効率的に切り替える重要な役割を果たしています。リードバルブは、原動機付自転車や小型の耕運機など、比較的小さなエンジンによく使われています。また、リードバルブの開閉のタイミングやリードの材質、形状などを調整することで、エンジンの性能を向上させることも可能です。
環境対策

2次空気導入バルブ:排ガス浄化の仕組み

自動車の排気ガス対策部品の一つに、二次空気導入弁があります。この小さな部品は、排気ガスに含まれる有害物質を減らす重要な役割を担っています。自動車のエンジンはガソリンを燃焼させて動力を得ますが、この燃焼過程で、完全に燃えきらない炭化水素や一酸化炭素といった有害物質が発生します。これらの有害物質は大気を汚染するため、そのまま排出することはできません。そこで、二次空気導入弁の出番です。 二次空気導入弁は、排気ガスに新鮮な空気を送り込む働きをします。エンジンから排出されたばかりの熱い排気ガスは、まだ十分に酸素と反応しきれていない場合があります。そこに新鮮な空気を送り込むことで、排気ガス中に残っていた有害物質をさらに酸化させ、無害な水と二酸化炭素に変えるのです。この二次空気導入弁は、排気管内部の圧力変化を利用して作動します。エンジンが動いている時は、排気管の中を排気ガスが断続的に流れており、この流れの脈動を利用して弁を開閉し、外部から空気を吸い込んでいます。つまり、エンジンの動力を使わずに、排気ガスの浄化を助けている、とても効率的な仕組みなのです。 二次空気導入弁は、主にエンジンが冷えている時に作動します。エンジンが温まっている時は、燃焼効率が上がり有害物質の発生量が少なくなるため、二次空気導入弁の必要性は低くなります。逆に、エンジンが冷えている時は燃焼効率が悪く、有害物質が多く発生するため、二次空気導入弁が積極的に働いて排気ガスの浄化を促します。このように、二次空気導入弁は、運転状況に応じて空気の導入量を調整し、常に最適な排気ガス浄化を実現しています。見えないところで活躍する小さな部品ですが、大気をきれいに保つために、重要な役割を果たしているのです。
エンジン

回転円盤バルブの秘密

回転円盤バルブとは、軸の周りを回る円盤に開けられた穴を利用して、エンジンの吸気量を調整する部品です。この円盤はクランク軸と同じ速さで回転し、穴の位置と吸気口の位置が合うことで空気がエンジン内部へと流れ込みます。ちょうど、回転扉が開いて空気が通る様子を思い浮かべると分かりやすいでしょう。 この回転円盤バルブは、主に2行程機関と呼ばれるエンジンで使われています。2行程機関は、ピストンの上下運動2回で1サイクルの仕事を行うエンジンです。ピストンが上に向かって進む際に、同時に空気をエンジン内に吸い込み、圧縮し、爆発させ、排気ガスを外に出すという4つの動作を行います。この一連の動作の中で、回転円盤バルブは吸気工程を担い、エンジンの性能に大きな影響を与えています。 回転円盤バルブの構造は比較的単純です。クランク軸と連動して回転する円盤に穴が開いており、その穴が開閉することで吸気を制御します。部品点数が少なく、構造が単純であるため、故障のリスクも低く抑えられます。また、高回転のエンジンでも効率的に空気を吸い込めるという利点もあります。2行程機関は、ピストンの動きが速いため、より多くの空気を必要とします。回転円盤バルブは、この要求に応え、高回転でも十分な量の空気をエンジンに供給することができるのです。 このように、回転円盤バルブは、2行程機関の性能を最大限に引き出すために重要な役割を担っています。シンプルな構造ながらも、高回転域での吸気効率向上に大きく貢献し、2行程機関特有の力強い出力を実現する鍵となっているのです。