リーンバーンエンジン

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エンジン

燃費向上技術:リーンバーン

車は、私たちの生活に欠かせない移動手段となっています。それと同時に、地球環境への影響や燃料費といった費用も無視できません。環境保全と家計への負担軽減の両立は、自動車開発における重要な課題です。このような背景から、燃料をより効率的に使う技術である「薄い燃焼」(リーンバーン)が注目を集めています。 薄い燃焼とは、読んで字のごとく、空気を多く混ぜて薄い混合気をエンジン内で燃焼させる技術です。通常のエンジンでは、ガソリン1グラムに対して空気14.7グラムを混ぜて燃焼させます(理論空燃比)。薄い燃焼では、空気の割合を理論空燃比よりも増やし、20グラムから24グラム程度の空気を混ぜて燃焼させます。こうすることで、燃料消費量を抑え、燃費を向上させることができます。 薄い混合気は燃えにくいという問題があります。そこで、燃焼室内の混合気を均一に保ち、かつ、点火プラグ周りの混合気を濃くするといった工夫が凝らされています。これにより、安定した燃焼を維持しながら燃費を向上させることが可能になります。 薄い燃焼は、燃費向上による燃料費の節約だけでなく、排気ガス中の有害物質の削減にも貢献します。特に、窒素酸化物(NOx)の排出量を大幅に低減できます。従来のエンジンでは、NOxの発生を抑えるために排気ガス再循環(EGR)装置などを用いる必要がありましたが、薄い燃焼ではNOxの発生そのものを抑制できるため、これらの装置を簡略化できます。 薄い燃焼は、環境性能と経済性に優れた技術であり、今後の自動車開発において重要な役割を果たすと期待されています。更なる技術改良により、適用範囲の拡大や燃費の更なる向上が期待されます。自動車は日々進化しており、薄い燃焼もその進化を支える重要な技術の一つです。