空気過剰率:エンジンの呼吸
車の心臓部であるエンジンは、燃料を燃やして力を生み出します。この燃焼には、燃料だけでなく空気も必要不可欠です。空気過剰率とは、エンジンに送り込まれた空気の量と、燃料を完全に燃やすために理論上必要な空気の量の割合を表す値です。この割合は、エンジンの働き具合や排気ガスの成分に大きな影響を与えます。
空気過剰率が1の場合、燃料を完全に燃やすのにぴったりの量の空気が供給されている状態を指し、理論混合気と呼ばれます。ちょうど良い空気の量で燃料が燃えるため、最も効率的に力を得られる状態といえます。
空気過剰率が1より大きい場合、必要以上の空気が供給されている状態であり、リーン混合気と呼ばれます。空気の量が多いので、燃料は完全に燃え尽きます。そのため有害な排気ガスは少なくなりますが、燃焼温度が低くなるため、エンジンの力は少し弱くなります。燃費を良くするために、あえてリーン混合気に調整する場合もあります。
逆に、空気過剰率が1より小さい場合、燃料を完全に燃やすのに十分な空気が供給されていない状態であり、リッチ混合気と呼ばれます。この状態では、燃料が全部燃えきらずに排気ガスと一緒に出て行ってしまいます。そのため、エンジンの力は強くなりますが、燃費が悪くなり、有害な排気ガスも増えてしまいます。急加速時など、大きな力が必要な時に、リッチ混合気にする場合があります。
この空気過剰率を理解することは、エンジンの性能を最大限に引き出し、環境への負担を少なくするためにとても大切です。適切な空気過剰率を保つことで、地球にもお財布にも優しい運転ができます。