車の屋根形状:後端キックアップの秘密
車は、道を走る時に空気の壁を押しのけるように進みます。この空気の抵抗は、車の燃費やスピードに大きな悪影響を及えます。空気抵抗を少しでも減らす工夫は、車の設計においてとても大切です。
車の屋根後端を少しだけ上向きに反らせる「屋根後端跳ね上げ」という工夫があります。屋根後端跳ね上げは、空気の流れを整え、空気抵抗を少なくする効果があります。車は進む時、車体の前方に空気がぶつかり、車体の表面に沿って流れていきます。車体後端で空気の流れがはがれると、渦巻き状の空気の流れができて抵抗が大きくなります。屋根後端跳ね上げは、この空気の流れのはがれをおさえ、空気抵抗を小さくします。
近年の自動車作りでは、計算機を使って空気の流れを詳しく調べ、一番良い屋根後端跳ね上げの形を探しています。わずか数ミリの違いでも、空気抵抗に大きな影響を与えるため、設計者は細心の注意を払って開発に取り組んでいます。何度も何度もミリ単位の調整を繰り返すことで、空気抵抗を極力まで減らし、燃費を良くし、走行の安定性も高めているのです。
空気抵抗を減らす工夫は屋根後端跳ね上げだけではありません。車の全体の形、例えば、車体の底を平らにする、ドアミラーの形を変える、なども空気抵抗を減らす工夫の一つです。また、表面に凹凸をなくすことでも、空気抵抗を減らすことができます。これらの工夫を積み重ねることで、車はより環境に優しく、快適な乗り物へと進化していきます。