レイノルズ数

記事数:(3)

エンジン

乱流拡散:車の空気抵抗と冷却

物は空気や水といった流体の中を移動するとき、周りの流れに影響を与えます。この流れには、大きく分けて二つの種類があります。規則正しく整然とした流れである層流と、不規則で複雑な流れである乱流です。 層流は、流体が幾重にも重なった薄い膜のように滑らかに流れる状態です。まるで糸を引くように、流体の各部分が秩序を保ちながら移動します。この流れの中では、速度の変化は緩やかで、流れの方向も一定です。例えば、粘り気のある蜂蜜をゆっくりと傾けると、表面は滑らかで規則正しい流れ方を示します。これは層流の典型的な例です。 一方、乱流は大小さまざまな渦が入り乱れ、非常に複雑な流れ方をします。流体の速度や方向は常に変化し、予測が難しい状態です。急な川の 流れや、滝壺の渦巻く様子を思い浮かべると、乱流の特徴がよく分かります。この流れの中では、エネルギーの損失が大きく、抵抗も増加します。 この二つの流れ方の違いを決める重要な要素がレイノルズ数と呼ばれる値です。レイノルズ数は、流体の速度、粘り気の強さ、そして流れの代表的な長さによって計算されます。速度が速いほど、粘り気が弱いほど、代表的な長さが大きいほど、レイノルズ数は大きくなります。レイノルズ数が小さいうちは流れは層流を保ちますが、ある一定の値を超えると乱流に変化します。車の場合、速度が遅ければ車体の周りの空気の流れは層流に近い状態ですが、速度が上がるにつれて乱流へと変化していきます。これは、速度が上がることでレイノルズ数が大きくなるためです。層流に比べて乱流は抵抗が大きいため、燃費にも影響を与えます。
その他

車の空気抵抗と層流の関係

水や空気といった、形を変える物質の流れ方には、大きく分けて二つの種類があります。一つは層流と呼ばれる流れ方です。層流は、流体が整然と流れる状態のことを指します。まるで何枚もの薄い板が、互いに擦れ合うことなく、平行に滑らかに動いている様子を想像してみてください。川の流れで、水面が穏やかに、波も立たずに流れている状態が、層流に近い状態です。インクを静かに水に垂らすと、筋状に広がっていきますが、これも層流の特性を示しています。層流では、流体の各部分が規則正しく運動しているため、エネルギーの損失が少なく、効率的な流れと言えます。 もう一つは乱流と呼ばれる流れ方です。乱流は、流体が不規則に混ざり合いながら流れる状態です。沸騰した水が、鍋の中で激しく動き回る様子や、滝つぼで水が白い泡を立てながら流れ落ちる様子を思い浮かべてみてください。このような状態では、流体の各部分が複雑に動き回り、大小さまざまな渦が発生しています。そのため、層流に比べてエネルギーの損失が大きくなります。飛行機の翼の周りや、高速で流れる川の流れなどは、乱流の例です。 これらの二つの流れ方は、流体の速さや粘り気、そして流れの通り道の形など、様々な要因によって変化します。例えば、細い管の中をゆっくり流れる水は層流になりますが、同じ管でも水の速度を上げていくと、ある時点で乱流に変化します。また、粘り気の強い蜂蜜は、ゆっくり流れていても乱流になりにくいのに対し、粘り気の低い水は、比較的速い速度で乱流になりやすいです。このように、流れの種類は、様々な条件によって複雑に変化します。
車の開発

車の空気抵抗と境界層

車が空気の中を進む時、車体の表面に沿って空気が流れます。空気は粘り気が少ないので、物体表面にぴったりとくっつくように流れようとします。しかし、実際に起きている現象はもう少し複雑です。 車体表面に非常に近い領域では、空気の流れはほとんど止まっているように見えます。まるで車体に貼り付いているかのようです。少し表面から離れると、空気は少しずつ流れ始め、さらに離れると、本来の速さで流れるようになります。このように、車体表面から少し離れた領域で空気の流れが遅くなっている層を「境界層」と呼びます。 境界層の外側では、空気はほぼ一定の速さで流れています。しかし、境界層の中では、車体表面に近いほど空気の流れは遅く、表面から離れるほど速くなります。この速度の変化が、なめらかな流れと乱れた流れを分ける重要な要素です。境界層内では、空気の流れは基本的に規則的で、層状になっています。これを層流と呼びます。層流では、空気同士が規則正しく並んで流れているので、摩擦によるエネルギーの損失は比較的小さく抑えられます。 しかし、車の速度が速くなったり、車体の形状が複雑になると、境界層内の流れが乱れてきます。これを乱流と呼びます。乱流では、空気の流れが不規則になり、渦を巻いたり、複雑な動きをします。この乱れた動きによって、空気同士の摩擦が大きくなり、エネルギーの損失が増加します。これが空気抵抗の増加につながり、燃費の悪化を招きます。 つまり、境界層は空気の流れと空気抵抗を理解する上で非常に重要な概念です。自動車の設計では、境界層を制御することで空気抵抗を減らし、燃費を向上させる工夫が凝らされています。