ロールオーバー

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安全

危険なリムタッチ:その原因と回避策

「リムタッチ」とは、自動車のタイヤの空気が著しく減ってしまった時に、車輪の最も外側の縁の部分、つまり「リムフランジ」と呼ばれる部分が道路の表面に接触してしまう現象のことです。 通常、自動車はタイヤのゴムの部分で道路を捉え、滑らかに走ることができます。タイヤの中には空気が入っており、この空気圧によってタイヤの形が保たれ、路面の凹凸を吸収するクッションの役割も果たしています。 しかし、タイヤの空気圧が適正な値よりも低い状態だと、タイヤは本来の丸い形を保てず、扁平に変形してしまいます。すると、路面からの衝撃をうまく吸収できなくなり、乗り心地が悪くなるだけでなく、様々な危険が生じます。 例えば、急な曲がり角を曲がったり、急ブレーキを踏んだりする時には、車体には大きな力が加わります。このような状況でタイヤの空気圧が低いと、タイヤの変形はさらに大きくなり、ついにはリムフランジが路面に接触してしまうのです。 リムフランジは、タイヤを車輪に取り付けるための金属部分です。本来、路面に接するようには設計されていません。そのため、リムフランジが路面に接触すると、タイヤや車輪に大きな負担がかかり、損傷の原因となります。また、ハンドル操作が不安定になったり、ブレーキの効きが悪くなったりするなど、重大な事故につながる可能性も高まります。 日頃からタイヤの空気圧をチェックし、適正な値を維持することが、リムタッチを防ぎ、安全な運転を確保するために非常に重要です。
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車の衝突安全:多様な衝突への備え

車が事故を起こす時、ぶつかる相手やぶつかり方は様々です。大きく分けると、相手が別の車の場合と、電柱やガードレールといったものの場合があります。 事故は正面からだけではなく、斜めから、あるいは後ろからと、あらゆる方向から起こり得ます。そのため、安全な車を作るためには、あらゆる角度からの衝突を想定する必要があります。さらに、ぶつかる相手との車体の高さの違いも、事故の衝撃に大きな影響を与えます。例えば、乗用車とトラックでは、車体の高さが大きく異なるため、衝突時の衝撃の伝わり方も変わってきます。 理想的には、あらゆる角度や高さの組み合わせで衝突試験を実施することが望ましいですが、現実的には費用や時間などの制約から、それは不可能です。そこで、様々な衝突の中でも特に代表的なものを選んで試験を行っています。具体的には、真正面からぶつかる正面衝突、斜めからぶつかる斜め衝突、車体の半分だけがぶつかるオフセット前面衝突、細い柱にぶつかるポール衝突、横からぶつかる側面衝突、後ろからぶつかる後面衝突、そして車が横転する横転などです。これらの試験では、ダミー人形を乗せた車を実際に衝突させ、車体の損傷の程度やダミー人形にかかる衝撃などを細かく計測します。 自動車メーカーは、これらの衝突試験の結果を詳細に分析し、エアバッグやシートベルトといった安全装備の改良、車体の構造の強化などに取り組んでいます。様々な衝突の形態を想定し、より安全な車を作るための研究開発は、常に続けられています。
車の構造

車の安定性: 重心高変化の影響

車は、多くの部品が組み合わされてできており、全体として一つの重さを持っています。この全体の重さの中心となる一点を、重心と呼びます。そして、地面からの重心の高さを重心高といいます。重心が高いほど車は不安定になりやすく、低いほど安定しやすくなります。まるでやじろべえのように、重心が高いほど倒れやすく、低いほど倒れにくい様子を想像してみてください。 重心高変化とは、車が動いている最中にこの重心高が変わることを指します。たとえば、右に曲がる時を考えてみましょう。車は遠心力によって左に傾こうとします。この時、車全体で見れば重心は左に移動し、地面からの高さ、すなわち重心高はわずかに上がります。逆に左に曲がるときは、重心は右に移動し、重心高はわずかに上がります。 また、急ブレーキをかけると車は前につんのめります。この時も重心は前に移動し、重心高は上がります。反対に急発進すると、車は後ろに傾き、重心は後ろに移動し重心高は上がります。 このように、車体の傾きによって重心高は常に変化しています。この変化は一見小さいように思えますが、車の挙動に大きな影響を与えます。重心高の変化が大きいほど、車は不安定になりやすく、横転する危険性も高まります。 そのため、車の設計者は重心高をできるだけ低くし、走行中の重心高変化を最小限に抑えるように工夫しています。車高を低くしたり、重い部品を車体の下の方に配置したりすることで、重心を低く保つことができます。また、サスペンションを工夫することで、車体の傾きを抑え、重心高変化を小さくすることができます。
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車の安定性:横転を防ぐ技術

自動車の事故の中でも、横転は特に大きな危険を伴います。横転事故は、他の種類の事故と比べて、死亡事故に繋がる割合が非常に高く、乗員が重傷を負う可能性も高いことから、安全運転を心がける上で、横転の危険性について正しく理解しておくことは大変重要です。 車が横転する原因は様々です。急なハンドル操作は、車のバランスを崩し、横転に繋がりやすいです。また、カーブを曲がる際に速度超過をしていると、遠心力が大きくなり、車が外側に傾き、横転する危険性が高まります。路面の状況も大きく影響します。凍結した路面や、ぬかるんだ道など、路面の状態が悪いと、タイヤがスリップしやすく、車が制御を失い、横転する可能性があります。 車の構造や状態も、横転の危険性に影響を与えます。車高の高い車は重心が高いため、横転しやすい傾向にあります。スポーツ用多目的車や、軽トラックなどがその例です。また、荷物を車に積む際、荷物のバランスが悪いと、車の重心が偏り、横転のリスクが高まるので注意が必要です。例えば、重い荷物を片側に集中させて積載したり、荷物を固定せずに走行すると、横転の危険性が増大します。 横転事故を防ぐためには、日頃から安全運転を心がけることが重要です。周囲の状況を常に確認し、安全な速度で走行することはもちろん、雨や雪の日など、路面状況が悪い場合は、特に慎重に運転しなければなりません。速度を控えめにし、急なハンドル操作や急ブレーキは避け、車間距離を十分に保つことが大切です。また、車の点検整備をきちんと行い、タイヤの状態やブレーキの効き具合などを常に良好な状態に保つことも、横転事故の予防に繋がります。
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車の浮き上がり:安定性への影響

車が地面から浮き上がる現象には、大きく分けて二つの種類があります。一つは、速い速度で走っている時に空気の流れによって生じる揚力によるものです。もう一つは、曲がる時に車の重心が傾くことで引き起こされるものです。どちらもわずかな変化のように感じますが、車の安定性や性能に大きな影響を与えます。 まず、速い速度で走っている時に生じる揚力について説明します。車は走ると、周りの空気を動かします。この空気の流れは、車の上側では速く、下側では遅くなります。この速度の違いによって、車の上側と下側で圧力の差が生じ、車体を持ち上げる力が発生します。これが揚力です。この揚力は、通常数ミリ程度とごくわずかですが、タイヤの角度や路面に接する力のバランスを変化させ、車の本来の性能を低下させる原因となります。特に高速走行時は、この揚力が大きくなり、ハンドル操作が不安定になることがあります。 次に、曲がる時に生じる浮き上がりについて説明します。車はカーブを曲がると、遠心力が働きます。この遠心力によって、外側のタイヤは強く路面に押し付けられ、内側のタイヤは路面から浮き上がろうとします。この現象は、車の重心を高くし、不安定な状態を引き起こします。特に内側のタイヤの浮き上がりが大きくなると、最悪の場合、車が横転する危険性も高まります。また、この浮き上がりは、タイヤのグリップ力を低下させ、スリップの原因にもなります。 これらの浮き上がり現象は、安全な運転を脅かすため、車の設計段階から様々な対策が施されています。例えば、車体の形を工夫して空気の流れを整えたり、サスペンションを調整して重心の変化を抑えたりすることで、浮き上がりを最小限に抑える努力がされています。これらの対策によって、私たちは安全で快適な運転を楽しむことができるのです。
機能

クルマの浮き上がり:安定性への影響

車は、速く走ったり、曲がりくねった道を進んだりするときに、まるで宙に浮くような現象が起こることがあります。これを浮き上がりと言い、大きく分けて二つの種類があります。 一つ目は、速い速度で走っている時に、空気の力によって起こる浮き上がりです。車の形は、空気の流れを大きく変えます。車が進むと、車の上側では空気が流れやすい形になっているため、空気の速度が速くなります。一方、車の下側では、空気が流れにくい形なので、空気の速度は遅くなります。空気は、速度が速いほど圧力が低くなり、速度が遅いほど圧力が高くなります。そのため、車の上側の圧力は下側よりも低くなり、この圧力の違いが車を上に持ち上げようとします。この持ち上げる力を揚力と言い、飛行機が空を飛ぶのと同じ原理です。揚力は、車の速度が速くなるほど大きくなります。速すぎる速度で浮き上がりが発生すると、タイヤが地面をしっかり捉えられなくなり大変危険です。そのため、スポーツカーなど速く走る車は、車体の形を工夫したり、部品を取り付けたりして、揚力を抑える工夫がされています。 二つ目は、カーブを曲がるときに起こる浮き上がりです。車がカーブを曲がると、遠心力という力が車を外側へ押し出そうとします。この時、車の重心は変わりませんが、タイヤにかかる力は内側と外側で変わります。外側のタイヤにはより大きな力がかかり、内側のタイヤには力が少なくなります。この力の変化により、サスペンションが縮んだり伸びたりします。サスペンションの動きと遠心力が組み合わさることで、内側のタイヤが地面から浮き上がろうとする現象が起こります。これは、タイヤが地面を捉える力が弱くなることを意味し、安定した走行を難しくします。特に、速い速度でカーブを曲がるときや、サスペンションの設定が不適切な場合に、この浮き上がりは顕著になります。浮き上がりを防ぐためには、適切な速度でカーブを曲がること、車の重心を低く保つこと、サスペンションを適切に調整することが重要です。