不等長ドライブシャフト

記事数:(1)

駆動系

左右で長さが違う駆動軸

自動車の心臓部である原動機は、車体への搭載位置や動力を車輪へ伝える駆動軸の配置によって、様々な組み合わせが存在します。 前輪を駆動する車の場合、原動機を車体の幅方向に横向きに配置するのが主流です。こうすることで、原動機が占める空間を小さく抑えられ、車室内の空間、特に後部座席の足元を広々とお使いいただけます。また、部品点数を減らせるため、製造費用を抑えることにも繋がります。 しかし、この横置き配置には、駆動軸の長さに違いが出てしまうという問題点も存在します。原動機の力は、変速機を通じて左右の車輪に伝えられます。横置き配置の場合、変速機の出力軸が車体の中心からずれた位置に配置されるため、左右の駆動軸の長さを同じにすることができません。どうしても左右で駆動軸の長さが異なってしまうのです。 この駆動軸の長さの差は、様々な面に影響を及ぼします。例えば、左右の車輪への動力の伝わり方に差が生じ、加速時にハンドルが取られるといった現象が発生することがあります。また、駆動軸の長さが異なることで、左右それぞれの駆動軸にかかる負担も異なってきます。部品の摩耗や劣化の進行度に差が出やすく、定期的な点検整備の際に左右で交換時期がずれる場合もあります。さらに、駆動軸は回転しながら動力を伝えるため、長さの違いによって振動が発生しやすくなることもあります。この振動は、乗り心地の悪化や騒音の原因となる可能性も懸念されます。 このように、前輪駆動車の原動機横置き配置は、車内空間の拡大に大きく貢献する一方で、駆動軸の長さの違いによる様々な課題も抱えています。自動車技術者は、これらの課題を解決するために、様々な工夫を凝らしています。例えば、駆動軸の材質や構造を工夫することで、長さの違いによる影響を最小限に抑える努力が続けられています。