Gマーク:良質なデザインの証
昭和三十二年、高度経済成長期へと足を踏み入れた我が国では、人々の暮らし向きが向上し、身の回りの品々にも、使い勝手だけでなく、見た目にも美しいものが求められるようになりました。そこで、優れたデザインの商品を広く世に広め、ものづくりを盛り上げようと、当時の通商産業省(現在の経済産業省)が立ち上げたのが、このグッドデザイン選定制度です。
この制度は、創設当初は「グッドデザイン選定制度」と呼ばれていましたが、後に「Gマーク制度」という愛称で広く知られるようになりました。Gマークという呼び名は、制度の象徴である「Gマーク」を冠した商品が、品質とデザインの両面で優れていることを示す証として、消費者の信頼を集めました。
選定された商品には、Gマークが表示され、これは消費者にとって、安心して購入できる品質の高い商品であることを示す目印となりました。このマークが付いた商品は、デザイン性が高いだけでなく、機能性や安全性にも優れていることが保証されているため、消費者は安心して商品を選ぶことができました。
Gマーク制度は、単に優れたデザインの商品を選ぶだけでなく、生産者に対してデザインの重要性を啓発し、ものづくりの質を高める役割も担っていました。この制度を通じて、多くの企業がデザインの向上に取り組み、日本の製品全体のデザイン水準が向上しました。
半世紀以上にわたり、日本のデザイン界を支えてきたGマーク制度は、優れた製品を数多く生み出し、日本の産業発展に大きく貢献してきました。そして、これからも、時代の変化に合わせて進化を続けながら、優れたデザインの普及と発展を支えていくことでしょう。