亀裂

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メンテナンス

熱によるひび割れを防ぐには

熱ひび割れは、部品が熱せられたり冷やされたりを繰り返すことで起こる損傷です。温度が変わることで、部品は膨らんだり縮んだりします。この伸び縮みが繰り返されると、部品の内部に力が溜まっていき、やがて表面に亀の甲羅のような模様のひび割れが生じます。これは、熱による疲れ、つまり熱疲労と呼ばれる現象です。 熱ひび割れは、特に高温になる機械部品でよく見られます。例えば、車のエンジンは燃料を燃やすことで動力を得ていますが、この燃焼によって非常に高い熱が発生します。また、ブレーキは摩擦によって車を停止させるため、こちらも高温になります。他にも、工場などで製品を作る際に用いる型も、高温にさらされることで熱ひび割れが生じやすい部品です。 エンジン部品の場合、熱ひび割れによってエンジンの性能が低下したり、最悪の場合は故障につながることもあります。ブレーキ部品では、熱ひび割れがブレーキの効きが悪くなる原因となり、安全な運転に支障をきたす可能性があります。製造工程で使われる型においては、熱ひび割れによって製品の品質が低下したり、型の寿命が短くなるといった問題が生じます。 このように、熱ひび割れは様々な部品で発生し、機械の性能や安全性、製品の品質などに大きな影響を与える可能性があります。そのため、熱ひび割れが起こりにくい材料を使用したり、部品の形状を工夫したり、表面に特殊な加工を施したりするなど、様々な対策がとられています。熱ひび割れへの対策は、機械や製品の信頼性を維持するために不可欠です。
車の生産

鋳物の弱点:熱割れを理解する

熱割れとは、金属を型に流し込んで部品を作る鋳造作業において、高い温度の状態から冷えて固まる過程で、材料自体が割れてしまう現象のことです。高温の金属が型の中で冷えて固まる際、金属は収縮しようとします。しかし、型や金属自身の形状によっては、この収縮が妨げられることがあります。例えば、複雑な形状の型だと、金属が自由に収縮できない箇所が生じます。また、金属内部でも温度差があると、収縮の度合いが部分的に異なり、内部に力がかかります。このような収縮を阻害する力が、まだ高温で強度が十分でない金属にかかると、金属は耐えきれずに割れてしまうのです。 熱割れは、金属がまだ赤く光っている高温状態、あるいは赤みが消え始めたばかりの冷却初期段階で発生しやすいです。これは、高温状態では金属の強度が低いため、わずかな力でも割れが生じやすいためです。また、金属が冷えて固まる際に発生する収縮応力は、温度変化が大きいほど大きくなります。つまり、高温からの冷却初期段階では、大きな収縮応力が発生し、これが熱割れの発生を促進するのです。 熱割れが生じた断面をよく見ると、多くの場合、青紫色に変色しているのが確認できます。これは、高温下で金属の表面が空気中の酸素と反応し、酸化膜が生成されるためです。この酸化膜の色は、熱割れの発生を判断する重要な目安となります。他の鋳造欠陥、例えばガスが金属の中に閉じ込められてできる巣や、金属が型に完全に充填されずにできる未充填などとは、この色の変化で見分けることができます。このように、熱割れは高温の金属が冷え固まる際の収縮、それに伴う応力、そして高温による酸化という要素が複雑に絡み合って発生する現象です。