自在継手の要: フックスジョイント
車は、動力の源である発動機が生み出す力を車輪に伝えることで走ります。発動機は燃料を燃焼させることで力を生み出し、その力は回転運動に変換されます。この回転運動は、最終的に車輪に伝わり、車を前に進ませる力となります。しかし、発動機と車輪の位置関係は、常に一定ではありません。道路の凹凸や車体の揺れによって、発動機の出力軸と車輪の入力軸の間には、角度のずれが生じます。
この角度の変化は、単なるずれではなく、回転運動を伝える上での大きな障害となります。もし、発動機と車輪を硬く固定した棒で繋いでしまうと、角度の変化に耐えられず、部品が破損してしまう可能性があります。そこで、この角度変化を吸収しながら、動力を伝え続けるための重要な部品が必要となります。それが自在継手です。
自在継手は、角度の変化を吸収するだけでなく、回転運動を滑らかに伝える役割も担っています。自在継手には様々な種類がありますが、その中でも代表的なものが、フックス継手です。フックス継手は、十字型の部品を中心に、二つの軸を繋いでいます。この十字型の部品が、角度の変化を吸収する鍵となっています。
フックス継手の中心にある十字型の部品は、発動機側の軸と車輪側の軸の両方と繋がっています。角度が変化すると、十字型の部品は、それぞれの軸との接続部分を支点にして回転します。これにより、角度の変化を吸収しながら、動力を伝え続けることが可能になります。フックス継手は、そのシンプルな構造と高い信頼性から、多くの車に採用されています。
自在継手は、車にとって無くてはならない重要な部品です。自在継手がなければ、車はスムーズに走ることはできません。発動機が生み出す力を余すことなく車輪に伝え、快適な運転を実現するために、自在継手は静かに、しかし確実にその役割を果たしています。