クルマの止まる仕組み:制動エネルギーとは?
車は動いているとき、目には見えない力を秘めています。この力を私たちは「運動のエネルギー」と呼び、車がどれくらい速く動いているかと、どれくらい重いのかによって、その大きさが変わってきます。同じ速さで走っていても、重い車の方がより大きな運動のエネルギーを持っているのです。また、同じ重さであっても、速く走る車の方が大きな運動のエネルギーを秘めています。
さて、車を止めるということは、この運動のエネルギーをなくすということです。ブレーキを踏むと、車は止まりますが、この時、運動のエネルギーはどこへ行ってしまったのでしょうか?実は、別の形の力に変換されて、最後は熱となって空気中に逃げていくのです。
この変換を担うのが、ブレーキです。ブレーキには、回転する円盤のような部品(ブレーキローター)と、それを挟み込む部品(ブレーキパッド)があります。ブレーキペダルを踏むと、ブレーキパッドがブレーキローターを強く挟み込みます。すると、摩擦という力が発生し、運動のエネルギーが熱に変わっていくのです。この熱は、ブレーキローターやブレーキパッドから周りの空気に伝わって、やがて感じられなくなります。
つまり、車はブレーキを踏むことで、運動のエネルギーを熱のエネルギーに変換し、最終的に熱を空気中に逃がすことで停止するのです。この熱のことを、制動エネルギーと呼ぶこともあります。制動エネルギーが効率よく熱に変換され、スムーズに空気に逃がされることで、車は安全に止まることができるのです。