車の燃費を左右する正味熱効率
熱効率とは、供給された熱の量がどれだけ有効に仕事に変換されたかを示す割合のことです。自動車を例に説明すると、燃料であるガソリンは化学エネルギーを蓄えています。エンジン内部でガソリンが燃焼すると、この化学エネルギーは熱エネルギーに変換されます。この熱エネルギーを利用してエンジン内部のピストンが動き、車が前進するための力、つまり仕事に変換されます。この一連のエネルギー変換の過程で、投入された熱エネルギーのうち、どれだけの割合が実際に車の駆動力として利用されたかを表すのが熱効率です。
熱効率を理解する上で重要なのは、熱エネルギーはすべてが仕事に変換されるわけではないということです。熱力学の法則によれば、熱エネルギーの一部は必ず排気ガスやエンジン冷却水などを通して外部に逃げてしまいます。そのため、熱効率は100%になることはありません。
熱効率が高いほど、少ない燃料でより多くの動力を得ることができるため、燃費が向上します。近年、自動車メーカーは燃費向上のため、エンジンの熱効率向上に力を入れています。様々な技術革新により、ガソリンエンジンの熱効率は以前より向上しており、40%を超えるものも出てきています。これは、投入された熱エネルギーの40%以上が車の駆動力に変換されていることを意味します。熱効率の向上は、燃料消費量の削減に繋がり、ひいては地球環境の保護にも貢献します。 熱効率は、自動車の性能を評価する上で非常に重要な指標の一つと言えるでしょう。