クルマの安全を守る保安基準
車は、私たちの暮らしに欠かせない便利な乗り物ですが、安全に走行するためには、様々なルールや基準を守る必要があります。その中でも特に重要なのが、保安基準です。保安基準とは、正式には『道路運送車両の保安基準』と言います。これは、国土交通省が定めた省令で、車が安全に公道を走るために必要な、最低限の技術的な基準を定めたものです。
この保安基準は、車の製造業者や整備工場、そして運転者にとって、なくてはならない重要な規則集と言えるでしょう。車の構造や装置が、安全性能や環境性能といった様々な面で、一定の水準を満たしているかを判断する基準となるからです。具体的には、ブレーキの効き具合や前照灯の明るさ、排気ガスの量など、安全に関わる様々な項目が細かく決められています。例えば、ブレーキであれば、一定の速度から停止するまでの距離や、ブレーキペダルの踏みしろなどが厳密に定められています。また、前照灯は、夜間走行時に安全な視界を確保するために、明るさや照射範囲などが細かく規定されています。さらに、排気ガスについては、大気汚染を防ぐために、排出ガスに含まれる有害物質の量が制限されています。
保安基準に適合していない車は、車検を受けることができません。車検とは、車が保安基準に適合しているかを定期的に検査する制度です。車検に通らない車は、公道を走ることができません。これは、安全な車社会を実現するために、国が定めた大切なルールです。保安基準を守ることは、自分自身の安全を守るだけでなく、周りの人々の安全を守るためにも、運転者として当然の責任と言えるでしょう。