冷却装置

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エンジン

水冷式オイルクーラー:車の心臓を守る冷却術

車は心臓部である発動機を動かすために、潤滑油を使います。この油は発動機を守る大切な役割を担っていますが、発動機が動いている間は高温になり、油の働きが悪くなってしまいます。そこで、油を冷やす装置が必要になるのです。それが油冷やし器です。油冷やし器には様々な種類がありますが、ここでは水冷式油冷やし器について詳しく説明します。 水冷式油冷やし器は、その名前の通り、水を用いて油を冷やす仕組みです。発動機を冷やす冷却水を利用して、油の温度を一定の範囲に保ちます。油冷やし器の中には、細い管が何本も束になったものが入っています。この管の中を、高温になった油と冷却水がそれぞれ通ることで、熱の交換が行われます。重要なのは、油と冷却水は決して混ざり合うことなく、管の壁を介して熱だけが移動する点です。熱い油は管の壁を通して冷却水に熱を伝え、冷やされた油は再び発動機へと戻っていきます。 一方、油から熱を受け取った冷却水は、温度が上がります。この温まった冷却水は、そのままでは再び油を冷やすことができません。そこで、車の先頭部にある放熱器へと送られ、そこで外気に熱を放出して冷やされます。そして、冷えた冷却水は再び油冷やし器へと戻り、油を冷やす準備を整えます。このように、水冷式油冷やし器は、油と冷却水、そして放熱器を巧みに利用して、発動機にとって最適な油の温度を保つ、重要な役割を果たしているのです。このおかげで、発動機は常に良い状態で動き続けることができます。
機能

車載エアコン:列型コンプレッサーの今昔

列型圧縮機とは、複数の押し鞴が小さな回転軸によって前後に動くことで空気を押し縮める装置です。名前の通り、押し鞴が回転軸に沿って列のように並んで配置されているのが特徴です。この配置によって、複数の押し鞴が同時に動くことで、滑らかで切れ目のない圧縮を実現していました。冷房装置のように、安定した圧縮空気を必要とする機器には、かつてはこの方式が主流でした。 列型圧縮機は、押し鞴の動きを回転運動に変換するために、複雑な仕組みが必要でした。回転軸からそれぞれの押し鞴へ、動きを伝えるための部品が数多く必要で、その複雑さゆえに製造の手間がかかり、費用も高くなりがちでした。また、装置全体の重さも重くなってしまうため、車に搭載する冷房装置のように、軽さが求められる用途には次第に適さなくなっていきました。 加えて、多くの可動部品を持つ列型圧縮機は、部品同士の摩擦や摩耗によるエネルギー損失も大きくなってしまう欠点がありました。そのため、近年の省エネルギー化の要求が高まる中で、より効率的な圧縮方式へと移り変わっていきました。現在では、回転式の圧縮機が主流となっており、車載用冷房装置をはじめ、様々な機器に広く使われています。回転式圧縮機は、構造が単純で部品点数が少なく、軽量であるため、列型圧縮機が抱えていた問題点を解決しています。このように、技術の進歩とともに、圧縮機の主流も時代に合わせて変化してきたと言えるでしょう。
車の構造

進化を続ける車の心臓部:放熱器の革新

車は走るためにエンジンを動かす必要があります。エンジンは燃料を燃やすことで動力を生み出しますが、この燃焼過程でどうしても熱が発生してしまいます。エンジンは精密な機械なので、高温になりすぎると様々な部品が損傷し、正常に動かなくなる可能性があります。このため、エンジンの温度を適切な範囲に保つことは、車の性能維持および寿命を延ばす上で非常に重要です。 そこで重要な役割を果たすのが放熱器です。放熱器は、エンジン内部を循環する冷却水を冷やすための装置です。冷却水はエンジン内部の熱を吸収し、放熱器へと送られます。放熱器は、細い管を幾重にも重ねた構造になっており、その中を冷却水が通るようになっています。そして、冷却水が管の中を流れる間に、外部の空気と熱交換が行われ、冷却水の温度が下がります。冷却された水は再びエンジンへと戻り、エンジンの熱を吸収するというサイクルを繰り返します。 放熱器の冷却効果を高めるために、走行風を利用する工夫が凝らされています。車の前面に設置されていることが多く、走行風が放熱器に当たることで、より効率的に冷却水を冷やすことができます。また、電動の送風機(冷却ファン)が取り付けられている車種もあり、走行風が足りない場合やエンジンが高温になった場合には、この冷却ファンが作動して放熱器に風を送り、冷却効果を高めます。 放熱器は、いわば車の心臓部であるエンジンを冷やす冷却装置の心臓部と言えるでしょう。放熱器が正常に機能しないとエンジンがオーバーヒートし、最悪の場合、走行不能に陥ることもあります。そのため、定期的な点検と適切なメンテナンスが不可欠です。日頃から冷却水の量や漏れがないかを確認し、必要に応じて補充または修理を行いましょう。