車の空気抵抗とナビエストークス方程式
車は走る時、常に空気の抵抗を受けています。まるで水の中を進むように、空気という見えない壁を押し分けて進んでいるのです。この見えない壁による抵抗こそが空気抵抗で、燃費や走行の安定性に大きな影を落としています。
空気抵抗は、車体の形や走る速さによって大きく変わります。例えば、正面から見ると面積の大きな車は、それだけ多くの空気を押し分ける必要があるため、空気抵抗も大きくなります。また、速く走れば走るほど、より多くの空気を押し分けることになり、空気抵抗はさらに増していきます。
空気抵抗を小さくすることは、車の設計において非常に大切です。空気抵抗が小さければ小さいほど、車は少ない力で進むことができます。これは、燃費が良くなることを意味します。燃費が良くなれば、燃料の消費量が減り、排出される二酸化炭素などの有害物質も減らすことができます。つまり、環境への負担を軽くすることができるのです。
また、高速で走る時の安定性も向上します。空気抵抗が大きいと、車が浮き上がろうとする力や、左右に揺さぶられる力が大きくなります。これは、高速道路などで安定した走行を続ける上で大きな障害となります。空気抵抗を小さくすることで、これらの力を抑え、より安全な走行を実現できるのです。
自動車を作る技術者は、様々な状況下での空気抵抗を正確に予測し、最も空気抵抗の小さい車体の形を設計しようと日々努力しています。風洞と呼ばれる、人工的に風を起こせる装置を用いて実験を行ったり、コンピューターを使ったシミュレーションを行ったりと、様々な方法で空気抵抗の低減に取り組んでいます。空気抵抗を少しでも小さくするために、車体の表面を滑らかにしたり、ミラーの形を工夫したり、様々な工夫が凝らされているのです。