リストリクター:車の出力調整の仕組み
車の心臓部とも言える発動機は、空気と燃料を混ぜ合わせて燃やし、その爆発力で動いています。この時、取り入れる空気の量はエンジンの力強さに直結します。空気をたくさん吸い込めば、たくさんの燃料を燃やすことができ、大きな力を生み出せるのです。しかし、あまりに強い力は、安全運転の妨げになったり、競技などでは公平性を欠くことにもつながります。そこで登場するのが「空気絞り」です。これは、発動機に取り込まれる空気の量を制限する装置で、いわば空気の通り道に設けられた関所のようなものです。
この空気絞りは、穴の開いた板のようなものを思い浮かべると分かりやすいでしょう。空気はこの穴を通って発動機に届きます。穴の大きさを変えることで、空気の通り抜け具合を調整できるのです。穴が小さければ、通れる空気の量は少なくなり、発動機の力も抑えられます。反対に、穴を大きくすれば、空気の通りは良くなり、発動機の力も増します。これは、家庭にある水道の蛇口と同じ仕組みです。蛇口を少しだけひねれば水の量は少なく、大きくひねれば水の量は多くなります。この蛇口の開き具合が空気絞りの穴の大きさにあたり、水の量が発動機の力強さに相当するわけです。
空気絞りは、車の速さを調整するだけでなく、発動機の寿命を延ばす効果も期待できます。空気の量を制限することで、発動機にかかる負担を減らし、摩耗を防ぐことができるからです。また、排出ガスに含まれる有害物質を減らすことにも役立ちます。空気絞りは、一見すると小さな部品ですが、車の性能や環境への影響に大きな役割を果たしている、重要な装置と言えるでしょう。