滑らかな切削:湿式切削の利点
工作機械を使って金属などの材料を削る加工方法のうち、切削油と呼ばれる油を使う方法を湿式切削といいます。この油は、工具と材料が触れ合う場所に送り込まれます。まるで包丁で野菜を切るときに水を流すように、油を使うことで、いくつかの良い点があります。
まず、工具と材料がこすれ合う時の摩擦熱を下げることができます。摩擦熱は工具の摩耗を早める原因となるため、油で冷やすことで工具を長持ちさせることができます。また、熱によって材料が変形してしまうのも防ぎます。
次に、削りかすを洗い流す効果があります。乾式切削のように油を使わない方法だと、削りかすが工具と材料の間に挟まり、加工の邪魔になることがあります。湿式切削では、油の流れで削りかすを流すため、綺麗な仕上がりを得ることができます。
さらに、加工精度を高め、表面を滑らかにする効果も期待できます。油を使うことで、工具と材料の動きが滑らかになり、より正確な加工が可能になります。同時に、表面のざらつきも抑えられ、滑らかな仕上がりを実現できます。
このように、湿式切削は様々な利点を持っています。工具が長持ちするため費用を抑えられ、高い精度と滑らかな表面で質の高い製品を作ることができます。そのため、自動車の部品や飛行機の部品、医療機器など、高い精度と滑らかな表面が求められる様々な製品作りに活用されています。特に、硬い材料や複雑な形状の部品を削る場合には、湿式切削が選ばれることが多いです。