列型コンプレッサー

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車載エアコン:列型コンプレッサーの今昔

列型圧縮機とは、複数の押し鞴が小さな回転軸によって前後に動くことで空気を押し縮める装置です。名前の通り、押し鞴が回転軸に沿って列のように並んで配置されているのが特徴です。この配置によって、複数の押し鞴が同時に動くことで、滑らかで切れ目のない圧縮を実現していました。冷房装置のように、安定した圧縮空気を必要とする機器には、かつてはこの方式が主流でした。 列型圧縮機は、押し鞴の動きを回転運動に変換するために、複雑な仕組みが必要でした。回転軸からそれぞれの押し鞴へ、動きを伝えるための部品が数多く必要で、その複雑さゆえに製造の手間がかかり、費用も高くなりがちでした。また、装置全体の重さも重くなってしまうため、車に搭載する冷房装置のように、軽さが求められる用途には次第に適さなくなっていきました。 加えて、多くの可動部品を持つ列型圧縮機は、部品同士の摩擦や摩耗によるエネルギー損失も大きくなってしまう欠点がありました。そのため、近年の省エネルギー化の要求が高まる中で、より効率的な圧縮方式へと移り変わっていきました。現在では、回転式の圧縮機が主流となっており、車載用冷房装置をはじめ、様々な機器に広く使われています。回転式圧縮機は、構造が単純で部品点数が少なく、軽量であるため、列型圧縮機が抱えていた問題点を解決しています。このように、技術の進歩とともに、圧縮機の主流も時代に合わせて変化してきたと言えるでしょう。