車の前面投影面積:燃費への影響
車は道路を走る際に、常に空気の抵抗を受けています。この空気抵抗の大きさを左右する要素の一つに、前面投影面積があります。前面投影面積とは、読んで字のごとく、車の正面から見た時の投影面積のことです。車の正面に光を当て、壁に映った影の面積を想像してみてください。これが前面投影面積です。
前面投影面積が大きい車は、壁に映る影も大きくなります。これは、それだけ多くの空気を押し分けて進まなければならないことを意味します。押し分ける空気の量が多いほど、車は大きな抵抗を受けることになり、多くの燃料を消費しなければなりません。つまり、前面投影面積が大きい車は、燃費が悪くなる傾向にあると言えるでしょう。
反対に、前面投影面積が小さい車は、空気抵抗が小さくなるため、燃費が良くなる傾向にあります。小さな車は一般的に前面投影面積が小さく、燃費が良いのはこのためです。スポーツカーなど、空気抵抗を減らすために車高を低く設計している車種も、前面投影面積を小さくすることで燃費向上を目指しています。
前面投影面積の測定方法は、車体から50~100メートルほど離れた位置から正面写真を撮影し、その画像から面積を計算します。この時、専用の面積測定器である面積計を用いることで、より正確な面積を算出することができます。写真から得られた面積は、撮影距離と実際の車体の大きさから実面積に換算されます。このようにして得られた数値が、車の前面投影面積となります。自動車メーカーは、設計段階からこの前面投影面積を考慮し、燃費性能を高める工夫を凝らしています。