副変速機

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駆動系

四輪駆動の要、トランスファーボックスとは

車はエンジンで生み出した力をタイヤに伝えることで走ります。その力を前後のタイヤに適切に振り分けるのが駆動力配分装置で、四輪駆動車や一部の後輪駆動車には「変速機」という動力の伝達装置から更に動力を伝えるための「駆動力配分装置」が搭載されています。この駆動力配分装置は、エンジンの回転する力を前後の車輪に最適な割合で分配することで、様々な道路状況で安定した走行を可能にしています。平坦で乾いた道路を走る場合は、前後のタイヤに均等に力を配分することで、燃費を良くしスムーズな運転ができます。 一方、雪道やぬかるんだ道など、タイヤが滑りやすい場所では、状況に応じて前後の車輪への力の配分を調整します。例えば、前輪が空回りし始めた場合は、後輪により多くの力を送ることで、車を前に進めることができます。逆に、後輪が滑りやすい上り坂では、前輪に駆動力を配分することで安定した登坂を可能にします。このように、駆動力配分装置は、常に変化する路面状況を判断し、前後のタイヤへ最適な駆動力を配分することで、どんな道でも安全に走行できるようサポートする重要な役割を担っています。 駆動力配分装置には、様々な種類があります。手動で切り替える方式や、車の状態を自動的に判断して配分を調整する電子制御式など、車の用途や特性に合わせて最適な方式が採用されています。電子制御式は、様々なセンサーの情報をもとに、コンピューターが瞬時に判断し、最適な駆動力を前後の車輪に配分します。これにより、ドライバーは特別な操作をすることなく、あらゆる路面状況で安定した走行を楽しむことができます。まるで車が自分で考えて走っているかのような、スムーズで快適な運転体験を提供してくれるのです。
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進化する変速機:電子式トランスミッション

電子式変速機は、人の操作なしに自動で、あるいは人の操作を補助する形で変速操作を行う装置です。従来の、運転者が自ら操作して歯車を変える手動の変速機と比べると、運転者の負担を大きく減らしてくれます。また、油圧だけで制御する自動変速機よりも、電子制御を組み合わせることで、より正確で無駄のない変速制御を実現しています。 具体的には、車に搭載されたコンピューターが、様々なセンサーからの情報をもとに変速機の制御を行います。例えば、エンジンの回転数、アクセルの踏み込み量、車速、路面の状況などを総合的に判断し、最適なギアを選択して変速します。これにより、燃費の向上、滑らかで快適な走り、そして運転の負担軽減といった多くの利点をもたらします。 電子式変速機は、大型のトラックやバス、建設機械などの特殊な車両で広く使われています。これらの車両は、荷物の重さや路面の状況が大きく変化するため、状況に合わせた精密な変速制御が求められるからです。電子式変速機は、そうした要求に応える技術として、なくてはならないものとなっています。 近年、電子制御技術は目覚ましい進歩を遂げており、より一層緻密で効率的な変速制御が可能になっています。この技術の進歩は、環境負荷の低減や、より快適な運転環境の実現に貢献していくでしょう。今後も、電子式変速機の進化に注目が集まります。
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四駆車の走破性を支えるリダクションレシオ

回転数を調整する仕組みである減速比は、自動車の動力伝達において重要な役割を果たしています。これは、動力の源である原動機(エンジン)の回転数と、最終的にタイヤを回転させる駆動軸の回転数の比で表されます。例えば、原動機が10回転する間にタイヤが1回転するとすれば、減速比は10となります。 この減速比の値が大きければ大きいほど、タイヤの回転速度は遅くなります。しかし、回転速度が遅くなる代わりに、タイヤを回転させる力は強くなります。これは、てこの原理とよく似ています。小さな力で大きな物を動かすためには、支点から力点を遠ざける必要がありますが、その分、力点を動かす距離は長くなります。減速比もこれと同じで、回転速度を犠牲にすることで大きな力を得ているのです。この大きな力を、私たちは「回転力」と呼びます。 自動車には、原動機の回転をタイヤに伝えるために、様々な歯車が使われています。変速機や終減速機といった装置の中に、大小様々な歯車が組み合わされており、これらの歯車の組み合わせによって減速比が変化します。それぞれの歯車装置の減速比を掛け合わせると、原動機からタイヤまでの全体の減速比を求めることができます。 この全体の減速比は、自動車の性能に大きな影響を与えます。平坦な道を速く走るためには、低い減速比が適しています。低い減速比であれば、タイヤの回転速度を速くすることができ、効率的に速度を上げることができます。一方、急な坂道を登ったり、重い荷物を積んで走る場合には、高い減速比が必要になります。高い減速比であれば、大きな回転力を発生させることができ、坂道や重い荷物にも負けない力強い走りが可能になります。 このように、減速比は自動車の走行状況に合わせて最適な値に調整される必要がある、重要な要素なのです。