加振力

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エンジン

クランクシャフトの曲げ振動とその対策

回転運動を動力源とする乗り物には、ほぼ必ず動力発生装置から回転力を伝えるための軸が備わっています。この軸は、一般的に「回し軸」と呼ばれ、動力発生装置の回転力をタイヤなどの駆動部分へと伝達する重要な役割を担っています。しかし、この回し軸は、回転中に様々な力を受け、まるで鞭がしなるように曲がったり、たわんだりする現象が発生します。これが「曲げ振動」です。回し軸の曲げ振動は、動力発生装置のピストン運動や、回し軸自身の回転によって発生する力によって引き起こされます。ピストンが上下に動くたびに、その力は回し軸を介して伝えられます。同時に、回し軸自身の回転によっても力が発生します。これらの力が組み合わさって、回し軸を曲げる方向の力が発生し、回転と共に力が繰り返し加わることで振動が発生するのです。この振動は、回転数が一定の値になると特に大きくなることがあります。これは「共振」と呼ばれる現象で、ちょうどブランコを漕ぐように、タイミング良く力が加わることで振動が増幅されるのです。ブランコをタイミングよく押すと大きく揺れるのと同じように、回し軸の回転数と振動の周期が一致すると、共振が発生し振動が大きくなります。この共振状態では、回し軸にかかる負担が非常に大きくなり、最悪の場合は回し軸が折損してしまうこともあります。回し軸の折損は、乗り物の走行に重大な支障をきたすだけでなく、大きな事故につながる可能性もあります。そのため、乗り物の設計段階では、この曲げ振動をいかに抑えるかが重要な課題となります。回し軸の形状や材質を工夫したり、振動を吸収する部品を追加するなど、様々な対策が施されています。これにより、回し軸の耐久性を高め、安全で快適な走行を実現しています。
車の生産

車の快適な走り:ダイナミックバランスの重要性

車は、たくさんの回る部品でできています。エンジンやタイヤ、その他さまざまな部品が回転することで動力を生み出し、私たちを目的地まで運んでくれます。しかし、これらの回る部品は、速く回れば回るほど、振動を起こしてしまいます。この振動は、乗り心地を悪くするだけでなく、車内で聞こえる騒音を大きくしたり、部品の摩耗を早めて寿命を縮めたりと、様々な問題を引き起こす原因となります。そこで重要なのが、「回転体の揺れを抑える」技術です。 回転体の揺れ、つまり振動を抑えるための大切な技術の一つに、動的な釣り合いをとる調整、いわゆる「ダイナミックバランス」というものがあります。回る部品の中心と、その部品が回る軸の中心がぴったり一致していないと、遠心力という力が生まれます。この遠心力が、振動の原因となるのです。例えば、遊園地にあるメリーゴーラウンドを想像してみてください。中心から離れた馬に乗ると、より強い力で外側に引っ張られる感覚を味わいますよね。これは遠心力が働いているためです。回る部品でも同じことが起こり、中心からずれている部分が遠心力で引っ張られ、振動が発生するのです。ダイナミックバランス調整とは、この中心のずれを修正し、部品が滑らかに、そして安定して回転できるようにする技術です。 ダイナミックバランス調整は、様々な車の部品で行われています。地面と接するタイヤやホイールはもちろん、エンジンの力を車輪に伝えるプロペラシャフト、エンジンの主要部品であるクランクシャフトなど、多くの部品でこの調整が不可欠です。これらの部品が滑らかに回転することで、私たちは快適な乗り心地を得ることができ、車の寿命も延びるのです。静かで振動の少ない車は、快適なだけでなく、安全性も高まります。高速道路を走る際など、高い速度で安定した走行を続けるためには、ダイナミックバランス調整が欠かせません。まさに、縁の下の力持ちと言える技術なのです。