助手席

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安全

子供の安全を守る技術革新

乳幼児を自動車に乗せる際、安全を守る上で欠かせないのがチャイルドシートです。しかし、チャイルドシートを助手席に設置したまま、助手席のエアバッグが作動してしまうと、かえって乳幼児に危険が及ぶ可能性があります。これを防ぐために開発されたのが、シートセンサーです。 シートセンサーは、助手席にチャイルドシートが設置されているかどうかを自動的に見分ける仕組みです。助手席の座面部分には、薄い板状のアンテナが埋め込まれています。このアンテナが、まるで電波を送受信するレーダーのように機能し、チャイルドシートの存在を感知します。 チャイルドシートが助手席に設置されると、アンテナはチャイルドシートの固有の形状や材質を感知します。感知した情報は電気信号に変換され、自動車の制御装置に送られます。制御装置はこの信号を受け取ると、助手席のエアバッグを作動させないように制御します。つまり、衝突事故が起きても、エアバッグは膨らまないのです。これにより、エアバッグが乳幼児にぶつかってしまう危険を未然に防ぎます。 チャイルドシートが助手席に設置されていない場合は、アンテナは何も感知しません。そのため、制御装置は通常通りエアバッグを作動させる準備を維持します。万が一の衝突事故の際、乗員の安全を守るためにエアバッグは正常に作動します。 このように、シートセンサーは、常に乳幼児と乗員の安全を両面から見守る、高度な安全技術です。状況に応じてエアバッグの作動を制御することで、より安全な車内環境を実現しています。近年、多くの自動車メーカーがこの技術を採用し、子供の安全性を高める取り組みが進んでおります。
内装

車の快適性を支える前席の進化

自動車の座席、とりわけ運転席と助手席は大きく分けて二種類あります。一つはベンチシートと呼ばれるものです。これは、一枚の大きな座面を持つ座席で、運転席と助手席の間に仕切りがなく、大人三人が座れるほどの大きさを持つものもあります。かつては、多くの乗用車や小型トラックなどで採用されていました。特に、広々とした室内空間を演出できることから、家族向けの車種で人気を集めていました。また、中央席に幼い子供を座らせ、すぐ近くで見守ることができるという利点もありました。 もう一つはセパレートシートと呼ばれるものです。これは、運転席と助手席が独立した座席です。それぞれの座席は個別に調整できるため、乗員の体格や好みに合わせた最適な運転姿勢を確保できます。近年では、ほとんどの乗用車で採用されています。かつては、運転席と助手席の間にシフトレバーが配置されている車種が多く、ベンチシートではシフト操作に支障がありました。しかし、近年では多くの車種でシフトレバーが床面に配置されるようになり、セパレートシートの採用が進みました。 セパレートシートの普及には、安全性向上の効果も大きく関係しています。独立した座席構造は、衝突時の乗員の横方向への移動を抑制し、怪我の軽減に繋がります。また、個別に調整可能なヘッドレストは、追突事故時のむち打ち症の予防にも役立ちます。 このように、ベンチシートとセパレートシートはそれぞれに特徴があります。ベンチシートは広々とした空間を演出できる反面、安全性や調整機能の面で劣る部分があります。一方、セパレートシートは安全性と快適性に優れていますが、大人三人が前席に座ることはできません。車を選ぶ際には、それぞれの座席の特徴を理解し、自身の用途や好みに合った車種を選ぶことが大切です。
安全

安全な車内空間:エアバッグの設置位置

自動車の安全を守る上で欠かせない装備の一つに、衝突時に瞬時に膨らむ空気袋があります。これは、事故の際の衝撃から乗員を守るための重要な安全装置であり、様々な種類が開発されています。中でも、助手席を守るための空気袋は、設置場所によって大きく三つの種類に分けられます。設置場所の違いは、袋の膨らみ方や乗員への保護性能に影響を与えるため、それぞれの特性を理解することが重要です。 まず、計器盤の下の方に設置される種類があります。これは、比較的低い位置に取り付けられるため、ローマウント型と呼ばれます。この種類は、衝突時に袋が下から上に膨らむため、乗員の腰や脚への衝撃を効果的に軽減することができます。特に、前面衝突時に下半身へのダメージを抑える効果が高く、重大な怪我を防ぐのに役立ちます。 次に、計器盤の真ん中あたりに設置される種類があります。これは、ローマウント型よりも高い位置に取り付けられるため、ハイマウント型と呼ばれます。この種類は、衝突時に袋が正面に向かって膨らむため、乗員の胸部や頭部への衝撃を軽減することができます。特に、側面衝突時や斜めからの衝突時に効果を発揮し、乗員の上半身を保護します。 最後に、計器盤の上部に設置される種類があります。これは、最も高い位置に取り付けられるため、トップマウント型と呼ばれます。この種類は、衝突時に袋が上から下に膨らむため、乗員の頭部への衝撃を重点的に軽減することができます。特に、車両が横転するような事故の際に効果を発揮し、頭部への重大な損傷を防ぎます。 このように、助手席の空気袋は設置場所によって種類が異なり、それぞれが異なる保護性能を持っています。自動車を選ぶ際には、これらの特徴を理解し、より安全な車を選ぶことが大切です。