環境に優しい車を目指して
炭化水素とは、水素と炭素の二種類の元素のみからできている物質全体の呼び名です。自然界には、鎖状、環状、枝分かれなど、様々な構造を持つ炭化水素が存在し、それぞれ特有の性質を示します。
最も基本的な炭化水素はメタンです。メタンは、中心に炭素原子があり、その周りを四つの水素原子が囲む構造をしています。都市ガスとして家庭に届けられ、調理用コンロや給湯器などに使われています。
炭化水素は、私たちの暮らしに欠かせないエネルギー源です。例えば、天然ガスは都市ガスとして利用されるだけでなく、発電にも使われています。石油は精製することで、ガソリン、灯油、軽油、重油など様々な燃料や、プラスチック、合成繊維などの原料となる物質が作られます。これらの物質は、車や飛行機などの乗り物を動かす燃料、家庭で使う電気、衣類や日用品など、様々な形で私たちの生活を支えています。
炭化水素は鎖の長さによって性質が変化します。鎖が短いものは気体で、鎖が長くなるにつれて液体、そして固体へと変化します。例えば、メタン、エタン、プロパン、ブタンといった炭素数の少ないものは常温常圧で気体であり、天然ガスとして利用されています。炭素数が増えてくると液体になり、ガソリンや灯油、軽油などが該当します。さらに炭素数が増えると固体になり、パラフィンワックスやアスファルトなどがその例です。
炭化水素を燃やすと、二酸化炭素と水ができます。二酸化炭素は地球温暖化の原因となる温室効果ガスの一つです。そのため、炭化水素の利用は、地球環境への影響も考慮する必要があります。より環境に優しいエネルギー源の開発や、炭化水素を効率的に利用する技術の開発が、私たちの未来にとって重要な課題となっています。