プロペラシャフトの回転変動と対策
車はエンジンで生み出した力をタイヤに伝えて走ります。その力の伝達経路の一つに、プロペラシャフトという回転する棒があります。このプロペラシャフトは、エンジンの回転を後輪に伝える重要な役割を担っています。しかし、このプロペラシャフトには回転の速さが変わってしまう問題、回転変動がつきものです。
この回転変動の主な原因は、プロペラシャフトとデフ(差動装置左右の車輪の回転速度差を吸収する装置)をつなぐ継ぎ手にあります。特に、十字軸形継ぎ手と呼ばれる部品が回転変動を生み出します。この継ぎ手は、二つの軸が交わる角度、すなわち折れ角を持って回転を伝えます。この折れ角こそが、回転変動を生み出す原因なのです。
プロペラシャフトが回転すると、折れ角の影響で回転の速さが周期的に変化します。これは、力を伝える側の軸と伝えられる側の軸の回転の速さが一定でないことを意味します。この回転速度のムラが、回転する力の変動、すなわち回転変動につながります。具体的に言うと、駆動軸と従動軸の回転速度の比が一定にならないため、なめらかな回転が妨げられ、振動や騒音の原因となります。
さらに、この回転変動はプロペラシャフトの回転速度の二倍の速さで発生するため、特定の速度域で共振という現象を起こす可能性があります。共振とは、物体が特定の振動数で大きく揺れる現象です。この共振は車体全体に振動を伝え、乗り心地を悪くするだけでなく、駆動系部品の損傷にも繋がる恐れがあります。そのため、回転変動を抑える対策が重要となります。