半導体

記事数:(10)

EV

車の心臓部、導体の役割

車は、ガソリンや電気といった力の源を使って動きます。その力をうまく使うためには、電気の流れをきちんと整えることがとても大切です。電気の通り道となるのが、電気を通す物質、すなわち導体です。車は、様々な場所で導体を使い、電気の通り道を確保しています。 夜道を照らすヘッドライト、エンジンをかける時、暑い夏に涼しい風を送るエアコン、道案内をしてくれるカーナビゲーション、これらは全て導体を通して電気が流れることで初めて役に立ちます。導体がなければ、車はただの鉄の塊と変わりません。 車の中で電気の通り道となる導体は、主に銅線が使われています。銅は電気を通しやすく、加工もしやすいので、様々な形に変えて車の中に張り巡らされています。細い線から太い線まで、電気を使う場所に合わせた太さの銅線が選ばれ、電気を確実に送ります。 エンジンルームの中には、特に太い導体があります。エンジンをかけるスターターモーターは大きな力が必要なので、たくさんの電気を一度に送る必要があります。そのため、太い導体を使って、必要な電気を確実に供給することで、スムーズにエンジンを始動させることができます。 また、電気を使う場所には、必ずと言っていいほどヒューズと呼ばれる安全装置が付いています。ヒューズは、電気が流れすぎると熱で溶けることで回路を遮断し、車を守る役割を果たします。もしヒューズがなければ、電気が流れすぎて配線が熱くなり、火災につながる危険性があります。このように、導体は電気の通り道として重要なだけでなく、安全に電気を流すためにも工夫されているのです。現代の私たちの生活に欠かせない車にとって、導体はまさに血管のような存在と言えるでしょう。
機能

進化する方向指示器:電子式フラッシャーの仕組み

車を運転する上で、安全な進路変更や右左折には方向指示器、つまり俗に言うウインカーが欠かせません。このウインカーの点滅を制御しているのが、フラッシャーと呼ばれる装置です。ちょうど心臓が血液の流れを調整するように、フラッシャーはウインカーの点滅リズムを刻んでいます。そのため、方向指示器の心臓部と呼ぶのにふさわしい重要な部品と言えるでしょう。 かつては、熱を利用した熱線式や、電気を蓄える仕組みを持つコンデンサー式といったフラッシャーが主流でした。しかし、近年では電子式フラッシャーが広く採用されています。従来の方式に比べて、電子式フラッシャーには様々な利点があります。まず、電子部品を使うことで装置の大きさと重さを小さくすることができました。また、部品の寿命も長くなり、交換の手間も減りました。さらに、電子制御によって点滅のタイミングや間隔を精密に調整することが可能になったため、より安全で確実な方向指示ができるようになりました。 例えば、熱線式では周囲の温度変化によって点滅速度が変わることもありましたが、電子式ではそのような影響を受けにくいため、常に安定した点滅動作を維持できます。また、消費電力も少なく、車の省エネルギー化にも貢献しています。 このように、小さなフラッシャー一つにも技術の進歩が見て取れます。自動車の電子化の流れは様々な部品に及んでおり、電子式フラッシャーはその象徴的な例と言えるでしょう。より安全で快適な運転を実現するために、今後も技術革新は続いていくことでしょう。
エンジン

車の心臓部、パワートランジスター

今の車は、電子制御なしでは考えられません。エンジン、変速機、ブレーキなど、あらゆる部分が計算機によって細かく制御されています。まるで体中に張り巡らされた神経のように、電子制御は車のあらゆる動きを監視し、状況に合わせて最適な状態を作り出しているのです。この高度な制御を可能にする電子部品の一つが、パワートランジスターです。小さい部品ですが、車の心臓部と言えるエンジン制御において、なくてはならない重要な役割を担っています。 パワートランジスターは、いわば電気の流れを調整するスイッチのような役割を果たします。エンジンの点火時期や燃料噴射量などを制御する際に、大きな電流を正確にオンオフすることで、エンジンの性能を最大限に引き出します。 この正確な制御こそが、燃費の向上や排気ガスの浄化、スムーズな加速、静かな運転といった、現代の車に求められる様々な性能を実現する鍵となっているのです。もしパワートランジスターがなければ、エンジンは不安定になり、燃費が悪化し、排気ガスも増加してしまうでしょう。 近年、車の電動化が急速に進んでいます。電気自動車やハイブリッド車では、モーターを制御するために、より高度なパワートランジスターが必要とされます。 これらの車は、大きな電力を扱うため、パワートランジスターには高い耐久性と信頼性が求められます。さらに、省エネルギー化のためには、電力損失の少ないパワートランジスターが不可欠です。そのため、材料の改良や構造の工夫など、技術開発が日々進められています。 パワートランジスターは、小さいながらも、現代の車の進化を支える重要な部品と言えるでしょう。今後、自動運転技術など、車の電子制御はますます高度化していくと予想されます。それに伴い、パワートランジスターの役割もますます重要になっていくでしょう。より高性能で信頼性の高いパワートランジスターの開発が、未来の車社会を築く上で欠かせない要素となるはずです。
その他

車の未来:能動素子の役割

電気の流れを自在に操る部品、それが能動素子です。電気を増強したり、流れを調整したり、形を変えるといった、まるで魔法のような働きをします。この魔法の源は何かというと、外部からエネルギーを加えることで電気の流れを操るという、特別な仕組みを持っているからです。 能動素子の代表格と言えるのが、トランジスターです。トランジスターは、小さな電流の変化を大きな電流の変化に増幅することができます。小さな声でささやいた言葉を、拡声器で大きく響かせるように、電気信号を増幅することで、様々な機器の動作を可能にしています。例えば、カーオーディオの音量調節や、センサーが検知した微弱な信号を増幅して制御装置に伝えるなど、自動車の中でも重要な役割を担っています。 もう一つの代表的な能動素子がダイオードです。ダイオードは、電気を一方通行に流すという特技を持っています。ちょうど、一方通行の道路のように、電気が逆方向に流れるのを防ぎます。この性質を利用して、交流電流を直流電流に変換する整流や、電圧が上がりすぎるのを防ぐ過電圧保護など、様々な場面で活躍しています。自動車では、バッテリーへの充電や、様々な電子部品の保護に欠かせない存在です。 近年、自動車はますます電気を活用するようになり、電子部品の重要性が増しています。自動運転や安全装置、快適な車内環境など、高度な機能を実現するために、数多くの能動素子が使われています。例えば、モーターの回転を制御するインバーターや、様々な情報を表示するディスプレイ、運転を支援するセンサーなど、能動素子は自動車の進化を支える縁の下の力持ちと言えるでしょう。これからも、能動素子の技術革新は、自動車の未来を大きく変えていくでしょう。
機能

車とアルミナ基板:縁の下の力持ち

アルミナ基板は、酸化アルミニウムを主成分とする焼き物、つまりセラミックスでできた板状の部品です。このアルミナという物質は、宝石のサファイアやルビーと同じ成分であり、その硬さと丈夫さが大きな特徴です。アルミナ基板はこの特徴を受け継ぎ、様々な電子機器で重要な役割を担っています。 まず、アルミナ基板は非常に頑丈です。曲がったり、割れたりしにくいため、精密な電子部品をしっかりと支えることができます。また、電気を通さない性質、つまり絶縁性にも優れています。電子部品同士がショートしてしまうのを防ぎ、安全に電気を流すことができます。さらに、錆びにくく、熱にも強いという特徴があります。高温になる電子部品の近くで使っても劣化しにくく、長持ちします。そして、熱を効率よく伝える性質、熱伝導性も持ち合わせています。発熱しやすい電子部品から熱を逃がし、機器の温度上昇を防ぐのに役立ちます。 これらの優れた性質から、アルミナ基板は、私たちが日常的に使う携帯電話や計算機、そして車など、様々な電子機器に使われています。例えば、車では、エンジンを制御する装置や、安全を守るための装置など、過酷な環境に置かれる部品にアルミナ基板が使われています。振動や熱、湿気など、厳しい条件下でも安定して電子部品を支え、その性能を保つために必要不可欠な存在です。普段は目に触れることはありませんが、縁の下の力持ちとして、電子機器の安定した動作を支えています。まるで縁の下の力持ちのように、私たちの生活を陰で支えていると言えるでしょう。
車の生産

静電気の発生と対策

物はすべて、目には見えないほど小さな粒が集まってできています。この小さな粒は原子と呼ばれ、さらに原子の中心にはプラスの電気を持つ原子核と、その周りをマイナスの電気を持つ電子が回っています。通常はプラスとマイナスの電気が同じ量だけあるので、全体としては電気的に中性で、電気が流れたり体に感じたりすることはありません。しかし、例えば乾燥した寒い日にセーターを脱ぐと、セーターと体がこすれ合います。すると、セーターにあったマイナスの電気が体に移動し、体にはマイナスの電気が多くなり、セーターには少なくなります。この状態を静電気と言います。静電気とは、電気が動かず、物体に留まっている状態のことを指します。まるでダムに水が溜まっているように、体にマイナスの電気が溜まっているのです。 この溜まった電気が、金属のドアノブなど電気が流れやすい物に触れると、一気に流れ出します。この現象が放電です。放電する際に、パチッという音や光、軽い衝撃を感じることがあります。これが冬場にドアノブに触れた時などに experience する静電気の正体です。静電気は、日常生活でよく起こる現象で、大抵の場合は体に害はありません。しかし、溜まった静電気が大きい場合、火花が発生し、可燃性のガスなどに引火して火災を引き起こす危険性もあります。また、精密な電子機器に静電気が流れ込むと、故障の原因となることもあります。静電気は、乾燥した環境で発生しやすいため、加湿器などで湿度を上げたり、帯電防止グッズを使用するなど、静電気を抑える対策も大切です。
機能

車の心臓部、電圧調整器の役割

車は、様々な電気仕掛けの機器で動いています。明るい前照灯、涼しい空気を作る冷房装置、道案内をする地図装置など、これらはすべて電気の力で動いています。これらの機器が正しく動くためには、一定の強さの電気の流れが必要です。この電気の流れの強さを一定に保つ重要な役割を担っているのが、電圧調整器です。 電圧調整器は、発電機で作られた電気の強さを調整する装置です。発電機はエンジンの回転数によって発電量が変化します。エンジンの回転数が上がると、発電量も増え、逆に回転数が下がると発電量も減ります。もし、この変化する電気をそのまま機器に送ると、機器が壊れたり、正しく動作しなかったりする可能性があります。電圧調整器は、発電機の出力する電気の強さを常に一定の強さに調整することで、このような問題を防いでいます。 電圧調整器の働きを人間の体に例えると、心臓の働きと似ています。心臓は、全身に血液を送るポンプの役割を果たしています。激しい運動をすると、心臓はより多くの血液を送り出します。逆に、安静にしている時は、血液を送る量は少なくなります。電圧調整器は、心臓のように状況に応じて電気の流れを調整し、常に一定の強さを保つことで、車の電気系統全体を安定させているのです。 電圧調整器が正常に動作しないと、様々な問題が発生する可能性があります。例えば、電圧が不安定になると、前照灯が暗くなったり、ちらついたりすることがあります。また、冷房装置の効きが悪くなったり、地図装置が誤作動を起こすこともあります。さらに、最悪の場合、バッテリーが上がってしまうこともあります。そのため、電圧調整器は車の電気系統にとって非常に重要な部品と言えるでしょう。
EV

サイリスター:電気自動車の心臓部

半導体は、電気を流したり、止めたりする性質を持つ小さな部品で、電力の制御に欠かせない存在です。その中でも、サイリスターは複数のトランジスターの働きを併せ持つ、より高度な半導体です。トランジスター一つでは難しい、大きな電力を扱う機器の制御を可能にしています。 サイリスターは、電気を流す量を調整することで、電力を制御します。水道の蛇口をひねるように、電気の流れを調整できることから、電力制御の要として様々な機器で活用されています。例えば、電気を熱に変える電気ストーブや、電気を光に変える照明器具など、家庭にある多くの電化製品で活躍しています。温度調整や明るさ調整といった機能は、サイリスターが電力の流れを細かく制御することで実現しています。 さらに、サイリスターは電車や電気自動車などの大型の乗り物にも利用されています。電車の場合は、加速や減速を滑らかにするために、モーターに流れる電気を制御する必要があります。この制御をサイリスターが担うことで、乗客は快適な乗り心地を得られます。電気自動車では、ガソリン車のエンジンに相当するモーターの回転数を制御するために、サイリスターが重要な役割を果たしています。アクセルペダルを踏む強さに応じて、モーターに流れる電気を調整し、スムーズな加速と減速を可能にしています。 このように、サイリスターは家電製品から大型の移動手段まで、幅広い分野で電力の制御を担う、現代社会には欠かせない部品となっています。小型でありながら大きな電力を制御できるという特性は、省エネルギー化や機器の性能向上にも大きく貢献しており、今後の技術発展にも重要な役割を担っていくと考えられます。
車の生産

車の心臓部、半導体で進化する車載制御

今の車は、単なる移動の道具ではなく、たくさんの電子部品を組み合わせた精密機械のようなものです。エンジンの動きやブレーキのかかり具合、安全運転を助ける仕組みなど、車のあらゆる働きは小さな部品である半導体によって制御されています。 この半導体は、薄い円盤の形をした「シリコン板」から作られます。シリコン板は、純度の高いケイ素を特別な方法で結晶化させたもので、その表面には目に見えないほど細かい電子回路が作られています。 この電子回路が、様々な場所に取り付けられた感知器からの情報を受け取り、適切な制御信号を作り出すことで、車が滑らかに動くようになっているのです。例えば、エンジンの回転数を感知器が測り、その情報が半導体へ送られます。半導体は、その情報に基づいて燃料の量を調整する信号を送り、エンジンの回転数を一定に保つのです。 近年、車はますます電子化が進み、自動で運転する技術の実現にも半導体は欠かせないものとなっています。例えば、周りの状況を把握するためのカメラやレーダーからの情報も、半導体によって処理されます。 これから、もっと高度な機能を実現するためには、半導体の性能向上と進化がますます重要になります。例えば、より小さく、高性能で、かつ電力消費の少ない半導体の開発が必要です。小さな半導体にすることで、多くの機能を車に搭載できます。高性能な半導体にすることで、複雑な計算を素早く行い、安全な自動運転を実現できます。電力消費が少ない半導体にすることで、車の燃費を向上させることができます。 これらの技術革新が、未来の車社会を大きく変え、より安全で快適な移動を実現する可能性を秘めていると言えるでしょう。
車の開発

車の心臓部、半導体の要:シリコンウエハー

今の車は、電子制御なしでは動くことを想像できません。エンジンを動かしたり、ブレーキを制御したり、安全を守るための装置や道案内をする仕組みなど、車のあらゆる機能が小さな電子部品によって支えられています。そして、それらの電子部品の土台となるのが、シリコンで作られた薄い円盤です。この円盤は、シリコンウエハーと呼ばれています。 シリコンウエハーは、どのように作られるのでしょうか。まず、純度の高いシリコンを溶かして円柱状に固めます。この円柱は、インゴットと呼ばれています。次に、このインゴットを薄くスライスして、直径数インチの円盤を作ります。これがシリコンウエハーです。この薄い円盤は、まるで鏡のように丁寧に磨き上げられます。そして、その表面には、電子回路を作るための土台が作られます。 シリコンウエハーは、電子部品を作るためのキャンバスのようなものです。その品質が、最終的にできる電子部品の性能を大きく左右します。高度に精製されたシリコンは、電子の流れを精密に制御することを可能にします。そのため、高性能な電子部品を作るためには、高品質のシリコンウエハーが欠かせません。 シリコンウエハーは、普段目にすることはありませんが、現代の車の心臓部を支える重要な部品です。まるで縁の下の力持ちのように、私たちの快適な運転を支えているのです。電子部品は年々小型化、高性能化しています。それに伴い、シリコンウエハーも進化を続けています。より薄く、より大きく、より高品質なシリコンウエハーが求められています。未来の車も、この小さな円盤によって支えられていくことでしょう。