車の製造原価:価格の秘密
製造原価とは、読んで字の如く、製品を作るためにかかった費用のことです。自動車を作るには、多くの部品を組み立て、検査を行い、出荷するまでの一連の作業が必要です。この一連の作業の中で発生する費用全てが製造原価となります。
製造原価は大きく分けて三つの要素から成り立っています。一つ目は材料費です。鉄やアルミ、プラスチック、ゴム、ガラスなど、車を作るために必要な様々な材料の費用が含まれます。車種やグレードによって使用する材料の種類や量が異なるため、材料費は車によって大きく変動します。二つ目は労務費です。工場で働く従業員の給料や賞与、社会保険料などが含まれます。組み立て作業を行う従業員だけでなく、設計や開発、検査、管理など、車作りに関わる全ての従業員の費用が含まれます。三つ目は経費です。工場の電気代や水道代、機械の維持費、工場の家賃などが含まれます。材料費や労務費とは異なり、間接的に車作りに関わる費用となります。
これらの材料費、労務費、経費を全て合計することで、一台の車が完成するまでにかかる費用、つまり製造原価が計算されます。車一台あたりの値段を考える上で、この製造原価は大変重要な要素となります。なぜなら、製造原価は販売価格の基礎となるからです。製造原価が高ければ、当然販売価格も高くなる傾向があります。消費者が納得できる値段設定のためにも、製造会社は製造原価を適切に管理する必要があります。製造原価を下げるためには、材料費を抑える工夫や、作業工程を効率化して労務費を削減するなど、様々な取り組みが必要です。また、無駄な経費を削減することも重要です。 製造会社は、これらの費用を緻密に計算し、管理することで、利益を確保しながら、消費者に求めやすい価格で車を販売することを目指しています。