車の燃料:ナフサの役割
石油からできる無色の液体、ナフサは、様々な製品の原料として私たちの暮らしを支えています。ナフサは、原油を加熱し、沸点の違いで成分を分ける分留という方法で作られます。原油を熱すると、沸点の低いものから順に気体になり、それを集めて冷やすことで様々な成分に分けることができます。この分留の過程で、ガソリンよりも沸点が低く、灯油よりも沸点が高い、およそ30度から230度で沸騰する成分を集めたものがナフサです。
一口にナフサといっても、その性質は様々です。沸点の範囲によって、大きく3つの種類に分けられます。30度から140度で沸騰するものを軽質ナフサ、40度から230度で沸騰するものを重質ナフサ、そして30度から230度で沸騰するものをホールレンジナフサと呼びます。それぞれ含まれる炭化水素の種類や割合が異なり、用途も違います。
軽質ナフサは、主に石油化学製品の原料として使われます。例えば、プラスチックや合成繊維、合成ゴムなどを作る際に必要なエチレンやプロピレンなどの原料となります。私たちの身の回りにある様々な製品に、軽質ナフサが形を変えて使われているのです。
重質ナフサは、リフォーメートというガソリンの成分を作るための原料や、都市ガス、溶剤などに利用されます。自動車を走らせるためのガソリンや、家庭で使われる都市ガスにも、重質ナフサが役立っています。
ホールレンジナフサは、軽質ナフサと重質ナフサの両方の性質を併せ持つため、石油化学製品の原料やガソリンの成分、都市ガスなど、幅広い用途で使われます。このように、ナフサは姿を変えながら、私たちの生活に欠かせない様々な製品の原料として活躍しています。