双曲線航法

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双曲線航法:海の道しるべ

船が大海原を安全に航行するには、自分の位置を正確に知る必要があります。そのための技術の一つが双曲線航法です。陸上に設置された複数の電波発信基地を利用して、船の位置を割り出す仕組みです。 この航法の鍵となるのは、電波の伝わる速さと、船で受信する時刻のわずかな差です。陸上の発信基地は、それぞれ決められた時刻に電波を発信します。船は、これらの電波を受信し、発信時刻との差を計測します。電波は光と同じ速さで伝わりますから、この時間差から船と各発信基地との距離を計算できます。 しかし、一つの発信基地からの情報だけでは、船の位置を一点で特定することはできません。そこで、複数の発信基地からの電波を利用します。例えば、三つの発信基地A、B、Cからの電波を受信したとしましょう。AとBからの電波の到着時間差は一定となる場所を海図上に線で結ぶと、双曲線ができます。同じように、BとCからの電波の到着時間差で線を引くと、また別の双曲線ができます。そして、これらの双曲線が交わった点が、船の現在位置となります。 三つの発信基地を使うことで、より正確な位置が特定できるのが双曲線航法の特徴です。二つの発信基地だけでは、交わる点が二つ出てきてしまう可能性がありますが、三つ目の発信基地からの情報を使うことで、そのどちらか一方に絞り込むことができます。 このように、双曲線航法は、電波の伝わる速さと正確な時刻管理を巧みに利用して、広大な海の上で船の位置を特定する、高度な航海技術なのです。