可塑剤

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車の生産

ゴムの性能向上に欠かせないプロセスオイル

加工油とは、ゴムの様々な性質を向上させるために加えられる油のことです。ゴム製品を作る過程において、この油は大変重要な役割を担っています。ゴムは何も加えないままだと硬く、加工しにくいものですが、加工油を加えることで、ゴムの柔らかさを高め、しなやかに、形作りやすくすることができます。これによって、製造過程での作業効率が上がり、複雑な形の製品も容易に作れるようになります。 加工油には、大きく分けて、パラフィン系、ナフテン系、アロマティック系の三種類があります。パラフィン系加工油は、精製度が高く、ゴムの色合いへの影響が少ないため、薄い色のゴム製品によく使われます。ナフテン系加工油は、パラフィン系加工油に比べて安価であり、ゴムを柔らかくする効果が高いため、黒色のゴム製品によく使われます。アロマティック系加工油は、ゴムを柔らかくする効果は最も高いのですが、ゴムの老化を早める可能性があるため、使用には注意が必要です。どの種類の加工油を使うかは、作られるゴム製品の用途や求められる性質によって決定されます。 また、加工油はゴムの硬さを調整する役割も担っており、油の種類や量を調整することで、製品の硬さを自由に調節することができます。例えば、タイヤやゴム管など、用途に合わせた最適な硬さに調整することができます。タイヤの場合は、路面との摩擦や乗り心地を考慮して硬さが決められます。ゴム管の場合は、内容物の圧力や柔軟性を考慮して硬さが決められます。 さらに、加工油はゴムの摩耗しにくさや劣化しにくさを向上させる効果も期待できます。加工油がゴム内部の分子構造に作用することで、ゴムの強度や耐久性が向上すると考えられています。これにより、ゴム製品の寿命を延ばし、より長く使えるようにすることができます。つまり、加工油は、ゴム製品の性能と品質を向上させる上で欠かせないものと言えるでしょう。
内装

車の快適性と耐久性を支える内部可塑化

合成樹脂は、小さな分子が鎖のように長く連なってできた高分子からできています。この高分子の鎖同士がしっかりと結びついていると、樹脂は硬く、もろくなってしまいます。そこで、樹脂に柔らかさと加工しやすさを与える技術が可塑化です。可塑化には、外部可塑化と内部可塑化という二つの方法があります。 外部可塑化は、樹脂の外から可塑剤と呼ばれる物質を加えることで実現します。可塑剤は高分子の鎖の間に滑り込むことで、鎖同士の結びつきを弱めます。これにより、樹脂は柔らかくなり、曲げ伸ばししやすくなります。しかし、外部可塑化には欠点もあります。可塑剤は時間が経つと揮発したり、周りの物に移ってしまうことがあります。そのため、製品の耐久性が落ちてしまったり、周りの物を汚してしまう可能性があります。 一方、内部可塑化は、樹脂を作る段階で、元となる材料の分子構造を変えることで柔軟性を与えます。具体的には、柔らかい性質を持つ小さな分子(軟質モノマー)と、硬い性質を持つ小さな分子(硬質モノマー)を組み合わせて、高分子を作ります。このようにしてできた樹脂は、分子レベルで柔軟性を持つため、外部から可塑剤を加える必要がありません。内部可塑化の利点は、可塑剤が揮発したり、他の物に移行する心配がないことです。そのため、製品の柔らかさや加工しやすさが長持ちし、製品の寿命を長く保つことができます。また、周りの物を汚染する心配もありません。食品包装や医療器具など、安全性が特に求められる製品にも安心して使うことができます。このように、内部可塑化は、製品の性能と安全性を高める上で重要な技術と言えるでしょう。