車の吸気弁閉について
車は、エンジンのピストンが上下に動くことで動力を生み出します。このピストンの動きに合わせて、空気と燃料の混合気をエンジン内に取り込む必要があります。その入り口を開け閉めするのが吸気弁です。吸気弁閉とは、ピストンが最も下に下がった後、吸気弁が閉じるタイミングのことです。
ピストンが上下に動く工程は、吸気、圧縮、爆発、排気の4つの行程に分かれています。吸気行程では、ピストンが下に下がることでエンジン内部に負圧が生じ、この負圧によって空気と燃料の混合気がエンジン内に吸い込まれます。この時、吸気弁は開いています。ピストンが最も下に達した下死点を過ぎると、ピストンは再び上昇を始め、圧縮行程に移ります。この圧縮行程へスムーズに移行するために、吸気弁を適切なタイミングで閉じる必要があります。これが吸気弁閉です。
吸気弁が閉じると、エンジン内部に取り込まれた混合気はピストンによって圧縮され、次の爆発行程へと進みます。もし、吸気弁が閉じずに混合気が逆流してしまうと、エンジンの出力は低下してしまいます。逆に、吸気弁が早く閉じすぎると、十分な量の混合気が取り込めず、これもまた出力低下につながります。
吸気弁閉のタイミングは、ピストンが下死点を通過した後、クランクシャフトが何度回転したかで表します。例えば、「吸気弁閉45度」とは、下死点からクランクシャフトが45度回転した時に吸気弁が閉じることを意味します。この角度を吸気弁閉角度と言い、エンジンの出力や燃費に大きく影響します。高回転型のエンジンでは、より多くの混合気を吸い込むために吸気弁閉角度を大きく設定することが一般的です。吸気弁閉角度の最適値は、エンジンの種類や用途によって異なります。そのため、エンジンの設計段階において、吸気弁閉角度は重要な要素となります。