進化する4輪操舵、ハイキャス
日産が世に送り出した革新的な技術、ハイキャス。これは四つの車輪すべてを操舵する、画期的な仕組みです。自動車の動きを格段に向上させ、まるで車体が小さくなったかのような、驚くほど軽やかな動きを実現しました。
ハンドル操作と連動して後ろの車輪も操舵することで、狭い場所での取り回しが容易になります。たとえば、駐車場での切り返しや、狭い路地での通行もスムーズに行えます。また、カーブを曲がる際の安定性も向上します。まるで線路の上を走る電車のように、安定した走行を体感できるでしょう。
初期のハイキャスは、カーブを曲がる時に生まれる横方向の力によって、後ろの車輪が前の車輪と同じ方向に操舵される仕組みでした。スキーヤーがターンをする際に、両方のスキー板を同じ方向に傾ける動きを想像してみてください。ハイキャスもこれと同じように、車体を傾けることでカーブを曲がっていきます。この仕組みにより、車両の安定性が向上しました。まるで地面に吸い付くように、安定した走行が可能です。
しかし、高速で走行する際の安定性には、まだ改善の余地がありました。まるで速く走る船が波に揺られるように、高速走行時は車体が不安定になることもありました。この課題を解決するために、日産は更なる技術開発を進めていくことになります。後のハイキャスⅡでは、この点が改良され、速度に応じて後輪の操舵方向を制御することで、高速走行時の安定性も向上しました。より安全で快適な運転体験を提供するために、技術革新は続いていきます。