固定配分型

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駆動系

安定した走りの秘密:固定配分型常時4輪駆動

変わらぬ力の配分、すなわち固定配分型常時4輪駆動は、前後の車軸に常に一定の割合で動力を送り続ける駆動方式です。たとえば、前3後7といった具合に、あらかじめ決められた比率で力が配分されます。この比率は、路面の状態や車の速度、運転操作などに関わらず常に一定に保たれます。 エンジンの回転力は、まず変速機へと伝わり、その後、分動機と呼ばれる装置を通して前後の車軸に振り分けられます。分動機の中には、前後の車軸に動力を分配するための機構が備わっており、この機構によって固定された比率で動力が送られます。 この駆動方式の最大の利点は、安定した走行性能です。雪道や砂利道といった滑りやすい路面では、4つの車輪すべてに駆動力がかかるため、高い走破性を発揮します。ぬかるみや砂地など、タイヤが空転しやすい状況でも、しっかりと路面を捉え、車を前進させることができます。また、舗装路においても、安定したコーナリング性能を発揮します。カーブを曲がるとき、外側の車輪に大きな力がかかるため、前輪駆動車や後輪駆動車ではスリップしやすい状況でも、4輪駆動車は安定した姿勢を保ち、スムーズに曲がることができます。 一方、固定配分型常時4輪駆動は、常に全ての車輪に動力を伝えているため、燃費性能では他の駆動方式に劣る場合があります。また、タイトなコーナーでは、前後の車輪の回転差が生じにくいため、旋回性能が制限されることもあります。しかし、あらゆる路面状況で安定した走行性能を発揮するという点で、大きなメリットを持つ駆動方式と言えます。特に、雪国や山間部など、路面状況が変化しやすい地域では、その真価を発揮するでしょう。