多軸車

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車の構造

前2軸操舵:大型トラックの進化

大型の荷物を運ぶトラックにとって、一度に運べる量を増やすことは、運送の効率を上げるためにとても大切です。荷台を大きくすればたくさんの荷物を積めますが、ただ大きくするだけでは、車全体の重さのバランスが崩れ、走っているときの安定性やタイヤへの負担が増えてしまいます。そこで考えられたのが、前の車輪のあたりに車軸を2つ備える前二軸という構造です。 前二軸は、前に二組のタイヤを配置することで、荷物をたくさん積んだ時の重さをうまく分散させることができます。一つの車軸にかかる重さを軽くすることで、タイヤのすり減りや故障する危険性を減らすことができます。また、車全体の重さのバランスが良くなるので、走っているときの安定性も向上し、安全に荷物を運ぶことができます。 さらに、前二軸は、ブレーキの効きを良くするのにも役立ちます。前に二組のタイヤがあることで、ブレーキをかけたときに発生する摩擦の力が大きくなり、より短い距離で止まることができるようになります。これは、急に何かが起きた時の事故を防ぐのに大きく役立ちます。 例えば、急な下り坂でブレーキをかけたとき、前二軸であれば前の二組のタイヤでブレーキの力をしっかり受け止めることができるため、安定して減速できます。もし前軸が一つだけの場合、前のタイヤへの負担が大きくなり、ブレーキの効きが悪くなる可能性があります。 荷物をたくさん積みたい、そして安全に運びたいという、一見相反する二つの課題を解決する前二軸は、大型トラックの進化における重要な技術と言えるでしょう。
機能

空気と油圧の融合:エアオーバー式ハイドロブレーキ

車は止まる、走る、曲がるという基本的な動作を行います。これらの動作の中でも、安全に止まるためのブレーキは非常に重要です。ブレーキには様々な種類がありますが、大型車や特殊車両によく使われているのがエアオーバー油圧ブレーキです。このブレーキは空気圧と油圧、二つの力を組み合わせて作動します。空気の力を使うことで軽い力でブレーキを操作できる一方、油の力を使うことで大きな制動力を得られるという、両方の利点を活かした仕組みです。 運転者がブレーキペダルを踏むと、まずブレーキバルブという部品が動きます。このバルブは、空気の通り道を切り替える役割を持つ、いわばブレーキの司令塔です。バルブが開くと、圧縮された空気がそれぞれの車輪に繋がったエアサーボという装置に送られます。エアサーボは空気の力を油の力に変換する装置です。送られてきた空気の力でピストンを押し、油圧を作り出します。この油圧がブレーキを作動させる最終的な力となります。 従来の大型車や多軸車両で使われていた油圧式ブレーキでは、ブレーキペダルを踏む人の力で直接油圧を作り出していました。そのため、車体が大きくて重いほど、ブレーキを踏むのに大きな力が必要でした。エアオーバー油圧ブレーキは、空気圧を利用することでこの問題を解決しました。空気の力を油の力に変換する過程を挟むことで、運転者は軽い力でブレーキペダルを操作できるようになりました。また、油圧を使うことで大きな制動力を確保できるため、大型車や特殊車両といった重量のある車を安全に止めることができます。このように、エアオーバー油圧ブレーキは空気と油という二つの力を組み合わせることで、効率的で安全な制動を実現しています。