クルマと政令:安全・環境基準の理解
国民全体の暮らしに関わる様々な決まり事を定めたものを政令といいます。これは、憲法や法律に基づいて、内閣が定める命令の一種です。国の最高法規である憲法の下に位置づけられ、法律と同じく、国民にとって守るべき大切な規則です。法律は国会で作られますが、政令は内閣が決めます。国務大臣が署名し、内閣総理大臣が連署することで効力が生じ、官報で広く知らされることで、国民に周知されます。
政令は、法律だけでは細かい点が決められていない部分を補う役割を担っています。例えば、法律で「安全な乗り物」と定められていても、具体的にどのような基準を満たせば安全といえるのか、はっきりとは分かりません。そこで、政令によって具体的な数値や基準を定めることで、法律の運用が円滑に進むようにするのです。法律で「安全な速度」とだけ書かれていても、具体的な速度が分からなければ、運転する人はどれくらいの速度で運転すれば良いのか分かりません。政令で「時速何キロメートル以下」のように具体的な数値を定めることで、初めて「安全な速度」が明確になります。
また、法律で定められた制度がいつから始まるのか、あるいは、既に存在する制度との兼ね合いをどうするのかといった、移行のための措置も政令で定められます。新しい制度が始まる時、急に古い制度をなくしてしまうと混乱が生じる可能性があります。政令で新しい制度と古い制度の移行期間を設け、混乱を防ぐのです。
法律と同じく、政令にも国民に対する拘束力があり、違反すると罰を受けることがあります。ですから、日々の暮らしの中で関係する政令の内容を理解しておくことは大切です。例えば、自動車を運転する人は、道路交通法だけでなく、道路交通法施行令といった関連する政令についても知っておく必要があるでしょう。自分たちの生活にどのような政令が関わっているのか、意識してみるのも良いかもしれません。