電動格納式ドアミラー:進化の歴史と機能
かつて日本の車は、ドアミラーではなく、前の翼のような部分、つまりフェンダーにミラーが付いていました。これは、国が安全のために決めた決まりだったのです。周りの様子をよく見るために、ミラーの位置は重要です。しかし、世界を見ると、多くの国でドアミラーが当たり前に使われていました。そのため、日本の自動車を作る会社や外国の車を売る会社、そして車を運転する多くの人々から、「世界の基準に合わせよう」という声が上がり始めました。
フェンダーミラーは、車体の前の方についているため、運転席から見ると、どうしても死角が生じやすく、歩行者や自転車などを見落とす危険性がありました。また、車幅が大きくなってしまうこともデメリットでした。一方、ドアミラーは、運転席に近く、視線を少し動かすだけで確認できるため、死角が少なく、安全確認がしやすいという利点がありました。さらに、車幅も小さく抑えることができます。
そこで、ドアミラーに変えたいと考える人たちは、ドアミラーが本当に安全かどうかを何度も調べ、良い点を強く訴え続けました。安全性を高めるためには、どのような形が良いのか、どのような大きさにするのが適切なのか、様々な角度から検証を行いました。そして、ドライバーにとって見やすい位置はどこなのか、運転の邪魔にならないためにはどうすればいいのかなど、細かい点まで検討を重ねました。長年、彼らは努力を続けました。そしてついに、1980年代の初め頃、国の交通に関するルールを決める運輸省がドアミラーを正式に認めました。この認可は、日本の自動車業界にとって、とても大きな転換期となりました。今では、ほとんどの車にドアミラーが付けられており、安全に運転するために欠かせないものとなっています。