車の止まる仕組み:シューリターンスプリング
車は、私たちの暮らしの中でなくてはならない移動の手段となっています。目的地まで速く、快適に移動できる性能はもちろん大切ですが、安全に止まる性能も同様に重要です。
車はアクセルを踏むことで速度を上げ、ブレーキを踏むことで速度を落としまたは停止します。この止まる性能を支えているのがブレーキシステムです。ブレーキシステムは多くの部品が複雑に組み合わさり、一つのまとまりとして機能しています。
今回は、そのブレーキシステムの中でも重要な役割を果たす「シューリターンスプリング」について詳しく説明します。
ブレーキには、主に「ドラムブレーキ」と「ディスクブレーキ」の二種類があります。シューリターンスプリングは、主にドラムブレーキで使用されている部品です。ドラムブレーキは、円筒形のドラムの中にブレーキを構成する部品が入っており、ブレーキペダルを踏むと、ドラムの内側にブレーキシューと呼ばれる部品が押し付けられ、摩擦によって車の速度を落とす仕組みになっています。
シューリターンスプリングは、このブレーキシューを元の位置に戻す役割を担っています。ブレーキペダルを踏むとブレーキシューはドラムの内側に押し付けられますが、ペダルから足を離すと、シューリターンスプリングの力でブレーキシューは元の位置に戻り、ドラムとの接触が解除されます。これにより、ブレーキが効きっぱなしになることを防ぎ、スムーズな運転を可能にしています。
もしシューリターンスプリングが破損したり、適切に機能していないと、ブレーキシューがドラムに接触したままになり、ブレーキの引きずりや燃費の悪化につながる可能性があります。また、最悪の場合、ブレーキが過熱して効かなくなり、重大な事故につながる恐れもあります。ですから、シューリターンスプリングは小さな部品ですが、車の安全な走行には欠かせない、大変重要な部品と言えるでしょう。