寸法不良

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車の生産

鋳造欠陥:中子ずれを防ぐ

鋳物を製造する過程で、中子と呼ばれる砂型の一部が本来あるべき場所からずれてしまう現象を中子ずれと言います。中子とは、鋳物の内側に空洞を作るために使う型のことです。完成品の出来栄えを左右する重要な役割を担っています。 この中子が設計図通りに設置されないと、製品の厚みが均一でなくなったり、空洞の形が歪んだりするなど、大きさや形に狂いが生じます。例えば、エンジンブロックのような複雑な形状の鋳物を考えてみましょう。冷却水路などの複雑な内部構造を作るために、複数の中子を使用します。もし、中子が少しでもずれてしまうと、冷却水路の壁が薄くなったり、厚くなったりする箇所が出てきます。壁の厚さが不均一になると、冷却効率が低下したり、最悪の場合、水漏れなどの不具合につながる可能性があります。 中子ずれが起きると、製品の強さが弱まったり、本来の働きができなくなることもあります。これは、製品の品質に深刻な影響を及ぼします。特に、複雑な形の鋳物を製造する際には、中子ずれの危険性が高まるため、細心の注意が必要です。 中子ずれを防ぐためには、様々な工夫が凝らされています。例えば、中子を固定する治具の精度を高めたり、中子の形状を工夫してずれにくくしたり、鋳込み時の溶湯の流れを制御することで、中子にかかる力を最小限にするといった対策が挙げられます。また、熟練の作業者による丁寧な作業も、中子ずれを防ぐ上で非常に重要です。近年では、コンピューターによるシミュレーション技術も活用され、中子ずれのリスクを事前に予測し、対策を立てることが可能になっています。このように、高品質な鋳物を製造するためには、中子ずれへの対策が欠かせません。