インピーダンス:抵抗のその先へ
電気の流れを妨げる度合いを表すものとして、抵抗とインピーダンスがあります。抵抗は、読んで字のごとく電流が流れるのを邪魔する度合いを示すものです。電気を送る線が細いほど、また材質によっては、電気が流れにくくなります。これは、抵抗が大きい状態です。直流といって、常に一定の向きに電気が流れる回路では、この抵抗の値のみで電気の流れ具合を説明できます。
しかし、家庭で使われている電気のように、電流の向きや大きさが周期的に変化する交流回路では、抵抗だけでは電気の流れ具合を正しく捉えることができません。交流回路では、電流の変化を妨げる働きも現れるからです。この、電流の変化を妨げる度合いをリアクタンスといい、コイルや蓄電器といった部品がこの性質を持っています。コイルは電流の変化を遅らせようとし、蓄電器は電圧の変化を嫌う性質があるため、結果的に電流の変化を妨げる働きをします。
インピーダンスは、この抵抗とリアクタンスの両方を合わせた、交流回路における電気の流れにくさを示す尺度です。直流回路では電流が変化しないため、リアクタンスは考えなくてもよく、インピーダンスは抵抗と同じ値になります。つまり、インピーダンスは抵抗をより広い範囲で捉えたものといえます。
インピーダンスを表す際には、複素数という数を用います。複素数のうち、実数部分は抵抗の大きさを、虚数部分はリアクタンスの大きさを表します。このように複素数を用いることで、交流電圧と交流電流のずれ具合、位相差も同時に表すことができるのです。