排気システム

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環境対策

排気浄化の立役者:触媒加熱システム

自動車の排気ガス対策は、地球環境を守る上で欠かせない取り組みです。特に、エンジンを始動した直後は、排気ガスをきれいにする装置である触媒がまだ冷えているため、有害物質を十分に浄化できません。この冷えた状態の触媒は、排気ガス浄化の大きな課題となっていました。有害物質の排出を抑えるためには、一刻も早く触媒を温める必要があるのです。 そこで開発されたのが、今回ご紹介する触媒加熱システムです。このシステムは、様々な方法で触媒の温度を上昇させ、排気ガスの浄化性能を早期に向上させる役割を担っています。 従来のエンジンでは、排気ガスのみで触媒を温めていました。しかし、エンジン始動直後は排気ガスの温度が低いため、触媒が温まるまで時間がかかっていました。その結果、触媒が十分に機能するまでの間、多くの有害物質が排出されてしまっていました。触媒加熱システムは、この問題を解決するために開発された革新的な技術と言えるでしょう。 触媒加熱システムには、様々な種類があります。例えば、エンジンの燃焼を制御して排気ガスの温度を上げる方法や、外部から熱を供給する方法などがあります。これらの方法は、状況に応じて使い分けられています。 触媒加熱システムの導入により、冷間時の排気ガス浄化性能が飛躍的に向上しました。これにより、大気汚染の抑制に大きく貢献しています。私たちは、より良い環境を未来に残していくためにも、このような技術の進化を常に追い求め、理解を深めていく必要があるでしょう。地球環境を守る上で、自動車の排気ガス浄化は重要な課題であり、触媒加熱システムは、その課題解決に大きく貢献する重要な技術なのです。
エンジン

ツインスクロールターボ:その仕組みと衰退の理由

車の出力向上において重要な役割を果たす装置の一つに、過給機があります。その中でも排気過給機は、エンジンの排気ガスを利用してタービンを回し、その回転力で圧縮機を駆動することで、より多くの空気をエンジンへ送り込み、出力を高める仕組みです。この排気過給機の効率を高める技術の一つとして、二つの渦巻き通路を持つ排気過給機があります。 排気過給機の中心部品であるタービン室は、渦巻き状の通路(渦巻き通路)を通して排気ガスをタービンへと導きます。この渦巻き通路を二つに分割し、排気の流れを二つの経路に分けることで、タービンの回転効率を高めようとするのが、二つの渦巻き通路を持つ排気過給機の考え方です。 エンジンの排気行程では、シリンダーから断続的に排気ガスが排出されます。通常の排気過給機では、複数のシリンダーからの排気ガスが一つの渦巻き通路に流れ込むため、排気ガスの圧力変動が大きくなり、タービンの回転が不安定になることがあります。二つの渦巻き通路を持つ排気過給機では、排気口の近いシリンダー同士をまとめてそれぞれの渦巻き通路に排気ガスを導くことで、排気干渉を減らし、よりスムーズな排気の流れを作り出すことができます。 これにより、タービンは効率的に回転し、低回転域から高い過給圧を得ることが可能になります。結果として、エンジンの出力向上と燃費の改善に貢献します。また、排気ガスの流れがスムーズになることで、ターボラグと呼ばれる過給圧の立ち上がりの遅れも軽減され、アクセル操作に対するエンジンの反応も良くなります。 二つの渦巻き通路を持つ排気過給機は、排気の流れを精密に制御することで、エンジンの性能を最大限に引き出す高度な技術と言えるでしょう。
エンジン

シーケンシャルターボ:加速を極める二段構え

車の速さを左右する要素の一つに、空気と燃料の混合気を燃焼させるエンジンの働きがあります。エンジンに送り込む空気の量を増やすことで、より大きな力を生み出すことができます。その空気の量を増やすための装置の一つが、排気の流れを利用した「ターボ過給機」です。ターボ過給機は、エンジンの排気ガスを利用して羽根車を回し、その回転の力で空気を圧縮してエンジンに送り込みます。まるで扇風機のように、勢いよく空気を送り込むことで、エンジンのパワーを高めているのです。 シーケンシャルターボとは、このターボ過給機を複数個搭載し、排気の流れをうまく切り替える技術です。低回転域では小さなターボ過給機を、高回転域では大きなターボ過給機をと、エンジンの回転数に合わせて最適なターボ過給機を作動させます。これは、リレー走でそれぞれの走者が自分の得意な区間を走るように、それぞれのターボ過給機が最も効率よく働く場面で力を発揮する仕組みです。 具体的には、排気管の中に仕込まれたバルブ(弁)を開閉することで、排気ガスの流れ道を変え、どのターボ過給機を回すかを決めています。まるで線路の切り替えポイントのように、排気ガスの流れを制御することで、常に最適なターボ過給機が働く状態を作り出します。これにより、エンジンの回転数にかかわらず、力強い走りを実現することが可能になります。低回転域から湧き上がるような力強さと、高回転域まで続くスムーズな加速は、この巧みな排気の流れの制御があってこそ実現できるのです。