排気ブレーキ

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強化エンジンブレーキ:トラックの制動を深掘り

車は走るためだけでなく、安全に止まるための仕組みも重要です。その一つに、強化エンジンブレーキというものがあります。これは、主に大きな貨物自動車で使われる補助的なブレーキの仕組みです。排気ブレーキと同じように、エンジンの力を借りてブレーキの効果を高める働きをします。圧縮圧解放式ブレーキとも呼ばれ、有名なものとしては、三菱自動車工業のパワータードブレーキや、日野自動車のエンジンリターダーなどがあります。 エンジンの動きを理解すると、強化エンジンブレーキの仕組みがより分かりやすくなります。エンジンは、空気を吸い込み、圧縮し、爆発させ、排気するという4つの動作を繰り返すことで力を生み出します。圧縮の段階では、ピストンと呼ばれる部品が上に向かって動き、空気を押し縮めて体積を約20分の1にします。この時、空気を押し縮めるための抵抗が発生し、これがエンジンブレーキの最初の抵抗力となります。しかし、次の爆発の段階では、圧縮された空気がピストンを下へ押し出す力となり、せっかく生まれた抵抗力は打ち消されてしまいます。 強化エンジンブレーキは、この問題を解決するために、爆発の段階で排気バルブを開けるという工夫をしています。排気バルブを開けることで、圧縮された空気を外へ逃がし、ピストンを押し下げる力をなくすのです。さらに、排気後にはバルブを閉じ、シリンダー内を真空に近い状態にすることで、ピストンの動きに抵抗を生み出し、ブレーキの効果をさらに高めます。このように、圧縮の段階での圧縮抵抗と、爆発の段階での真空抵抗を組み合わせることで、エンジンブレーキの効果全体を大きく高めるのが、強化エンジンブレーキの仕組みです。
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リターダー:大型車の安全を守る縁の下の力持ち

重い車や荷物を運ぶ大型車や路線バス、トラックなどには、減速を助ける特別な装置がついています。これを「リターダー」と呼びます。「リターダー」とは、速度を落とす、遅くするという意味の言葉です。ブレーキを助ける装置なので、補助ブレーキとも呼ばれています。急な下り坂や長い下り坂を走る時、もしブレーキだけを使うと、ブレーキが熱くなりすぎて効きが悪くなってしまうことがあります。これを防ぐためにリターダーが活躍します。リターダーを使うことで、ブレーキの負担を軽くし、ブレーキの効きが悪くなるのを防ぐことができます。 リターダーにはいくつかの種類があります。排気ブレーキは、エンジンの排気の流れを調整することで、車の速度を落とす仕組みです。エンジンブレーキの一種で、燃料を使わずに減速できるので燃費にも良い効果があります。流体リターダーは、オイルのような液体を使って車の速度を落とします。羽根車を液体の中で回転させることで抵抗を作り出し、減速させます。この種類のブレーキは、重い車を安全に止めるのに役立ちます。電磁リターダーは、電磁石の力で車の速度を調整します。電気を使い、発生する磁力で抵抗を作り出し減速させます。 これらのリターダーは、どれもブレーキの働きを助け、車の安全な走行に貢献しています。特に、重い荷物を積んだ大型車や、乗客を乗せたバスなどでは、安全を守る上で非常に大切な装置です。乗用車ではあまり見かけませんが、大型車にはなくてはならない重要なシステムといえます。下り坂でブレーキの効きが悪くなるのを防ぎ、運転手が安心して運転できるようにサポートするだけでなく、ブレーキの寿命を長くするのにも役立っています。
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排気ブレーキ:エンジンの力を借りる制動

排気ブレーキとは、主にディーゼルエンジンを積んだ大型車やバス、トラックなどに使われている補助的なブレーキのことです。エンジンの排気の通り道を一時的に塞ぐことで、エンジン内部に負荷をかけ、その負荷を利用してブレーキの働きを得ています。普段私たちが使うブレーキのように、タイヤの回転を直接抑える仕組みとは異なり、エンジン自体にブレーキをかけて車の速度を落とします。 仕組みをもう少し詳しく説明すると、アクセルペダルから足を離すと燃料の供給が止まり、ピストンが上下運動を続けます。この時、通常は排気ガスが外に排出されますが、排気ブレーキを作動させると、排気管に設けられた弁が閉じ、排気ガスの通り道が塞がれます。すると、ピストンが上昇する際に強い圧縮抵抗が発生し、エンジンの回転数が抑えられます。この抵抗がブレーキの働きとなり、車体の速度を落とすのです。摩擦を利用した通常のブレーキとは異なり、部品の摩耗が少ないため、ブレーキ部品の寿命を延ばす効果も期待できます。また、長時間のブレーキ操作によるブレーキの効きが悪くなる現象(フェード現象)を防ぐのにも役立ちます。 特に坂道を下る時など、長い時間ブレーキをかけ続けなければならない状況では、排気ブレーキは非常に有効です。通常のブレーキの負担を減らし、安全に走行する助けとなります。排気ブレーキを使うと、「プシュー」という独特の音が発生することがありますが、これは排気ブレーキが作動している音なので、故障ではありません。大型車やバスが坂道を下る際にこのような音が聞こえたら、排気ブレーキを使っていると考えて良いでしょう。排気ブレーキは、大型車の安全な運行に欠かせない重要なシステムと言えるでしょう。
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強力な補助ブレーキ:パワータードブレーキ

車は、走るためだけでなく、安全に止まるためにも様々な工夫が凝らされています。その一つが補助ブレーキとも言える、大型車によく搭載されているパワータードブレーキです。 そもそも、多くの車はエンジンブレーキという仕組みを備えています。これは、アクセルペダルから足を離すと、エンジンが空気を取り込むのを制限することで、車の速度を落とす仕組みです。エンジンの内部でピストンが上下運動を繰り返していますが、エンジンブレーキは、このピストンが空気を圧縮する行程で生まれる抵抗を利用してブレーキの働きを強めています。しかし、ピストンが空気を押し出す行程ではブレーキ効果が弱まるという課題がありました。 パワータードブレーキはこの弱点を克服する仕組みです。通常とは別に第3の排気バルブという部品がエンジンに取り付けられています。このバルブは、ブレーキペダルを踏むと、ピストンが空気を押し出す行程でも排気管に空気を逃がすように開きます。これにより、ピストンが押し出す行程でも抵抗を生み出し、エンジンブレーキの効果を高めることができます。 急な坂道や高速道路など、長い距離をブレーキをかけ続ける場面では、通常のブレーキだけでは摩擦熱でブレーキの効き目が弱まる、フェード現象が起きる可能性があります。パワータードブレーキは、通常のブレーキの使用頻度を減らし、フェード現象を抑制する効果も期待できます。また、ブレーキペダルを踏む力が少なくて済むため、運転手の疲労軽減にもつながります。 このように、パワータードブレーキは、大型車にとって安全な走行を支える、重要な役割を果たしていると言えます。