静かな走りを実現する技術:燃料バッフルプレート
自動車を運転していると、時折「バシャン」という低い音が聞こえることがあります。これは、燃料タンクの中で燃料が揺れ動くことで発生する揺動音と呼ばれるものです。特に、アクセルペダルを踏んで加速したり、ブレーキペダルを踏んで減速したり、カーブを曲がったりする際に、この音が発生しやすくなります。これは、自動車の動きに合わせてタンクの中の燃料も大きく揺れるためです。
この不快な揺動音を抑えるために、燃料タンクの中には燃料邪魔板と呼ばれる部品が取り付けられています。この邪魔板は、タンクの中の燃料が急に大きく動くのを防ぐ役割を果たします。例えるならば、広いプールに仕切りを設けることで、波の勢いを弱めるようなものです。邪魔板があることで、燃料の動きが緩やかになり、揺動音の発生を抑えることができます。
この燃料邪魔板は、ただタンクの中に設置されているわけではありません。タンクの形に合わせて、最適な形で設計され、最も効果的な位置に取り付けられています。これにより、様々な運転状況、例えば急発進や急ブレーキ、急なカーブなどでも、揺動音をしっかりと抑えることができるのです。
自動車の静粛性、つまり音を抑えることは、快適な運転環境を作る上で非常に重要です。そのため、現代の自動車では、この燃料邪魔板は欠かせない部品となっています。近年では、より音を抑えるため、また車体を軽くするため、邪魔板の材料や形を工夫するなど、様々な改良が加えられています。燃料タンクの中にあるこのような小さな部品にも、自動車の快適性を高めるための技術が詰まっているのです。