ブレーキ式摩擦溶接:車の隠れた技術
摩擦熱を使って部品をくっつける新しい技術のお話です。この技術は「摩擦圧接」とも呼ばれ、ブレーキを使って摩擦熱を発生させることから「ブレーキ式摩擦溶接」という名前がついています。
一体どうやってくっつけるのかというと、まず二つの部品を軸方向に押し付けます。片方の部品は固定し、もう片方の部品を回転させます。すると、部品同士がこすれあって摩擦熱が発生します。この熱で部品の接合部分が溶けて柔らかくなり、回転を止める時にブレーキをかけることで、溶けた部分がくっついて接合が完了するのです。
この技術の凄いところは、熱を作る場所がくっつけたい部品の表面である点です。そのため熱の無駄がなく、効率よく部品を加熱できます。熱が伝わる範囲も狭いため、熱による部品の形の変化も少なくて済みます。従来の溶接方法だと、熱が広く伝わってしまい、部品の形が歪んでしまうこともありましたが、この方法なら精密な部品の接合にもってこいです。
さらに、異なる種類の材料をくっつけることもできます。例えば、鉄とアルミなど、性質の違う材料を接合できるため、部品の設計の自由度が広がります。また、複数の部品を一つにまとめることで、製造工程を簡単にすることができ、部品全体を軽くすることも可能です。
近年、自動車をはじめ様々な分野でこの技術が注目されています。より軽く、より強く、より複雑な構造の製品を作る上で、欠かせない技術となるでしょう。