摩擦抵抗

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エンジン

燃費向上に貢献するローラーロッカーアーム

くるくると回る部品である、カム軸。このカム軸の回転運動を、吸気と排気の扉であるバルブを開け閉めする動きに変えるために、重要な部品があります。それがロッカーアームと呼ばれるものです。このロッカーアームに小さなローラーを取り付けたものが、ローラーロッカーアームです。 従来のロッカーアームは、カムと直接擦れ合うことで動きを伝えていました。この擦れ合う部分が、摩擦抵抗を生み出す原因でした。しかし、ローラーロッカーアームでは、カムとローラーが転がり接触するため、この摩擦抵抗を大幅に減らすことができます。まるで、荷物を運ぶ際に、地面を引きずるよりも台車に乗せて転がす方が楽なのと同じです。 この摩擦抵抗の減少は、エンジンの回転を滑らかにし、燃費の向上に繋がります。特に、車の信号待ちなどでエンジンが低い回転数で動いている時や、ゆっくりとした速度で走っている時などは、この効果がはっきりと感じられます。これは、エンジン回転数が低い時は、摩擦抵抗がエンジンの出力に占める割合が大きいため、少しの抵抗の減少でも大きな影響を与えるからです。 さらに、摩擦による熱の発生も抑えられるため、エンジンの寿命を延ばすことにも繋がります。摩擦によって生じる熱は、部品の劣化を早める原因となります。ローラーロッカーアームは、この熱の発生を抑えることで、エンジンの耐久性を高めているのです。まるで、ずっと握りしめていると熱くなるおにぎりも、時々持ち替えることで冷ましておくことができるのと同じように、摩擦を減らすことでエンジンの熱をうまく管理し、長持ちさせることができるのです。
エンジン

車の性能を左右する境界層

物を包む空気や水のような、さらさらと流れるものは、ものの表面に沿って動きます。この時、ものにくっつくように、流れる速さが遅くなる薄い層ができます。これが境界層と呼ばれるものです。普段、風や水の流れを見ても、この薄い層は見えません。しかし、この目に見えない層が、車の燃費や走り方に大きな影響を与えています。 境界層は、20世紀初頭にドイツのプラントルという人が発見しました。プラントルは、流れるものとものの間にある薄い層が、流れるものを押し戻す力の鍵を握っていることを明らかにしました。この発見は、飛行機や船、車など、様々な動くものの設計に大きな変化をもたらしました。 境界層の中では、ものの表面に近いほど流れの速さは遅く、表面から離れるほど速くなります。この速さの変化が大きいほど、流れるものとものとの間の摩擦が大きくなります。 摩擦が大きいと、ものを動かすためにより大きな力が必要になり、車の場合には燃費が悪化します。 車の設計では、この境界層をいかに薄く、流れを乱れさせないようにするかが重要です。例えば、車の形を滑らかにすることで、境界層の乱れを抑え、摩擦抵抗を減らすことができます。また、表面に小さな凹凸を付けることで、境界層を薄く保ち、抵抗を減らす技術もあります。最近では、飛行機の翼にも使われている技術です。 境界層の研究は、燃費向上だけでなく、走行安定性や騒音低減にも繋がっています。空気の流れを制御することで、車全体の性能を向上させることができるのです。目に見えない薄い層ですが、その影響は大きく、車の進化を支える重要な要素となっています。
エンジン

カムフォロアの役割:エンジンを動かす小さな巨人

くるまの心臓部である発動機の中身には、カムという部品があります。このカムは、回転運動をする軸につながっていて、まるで山の峰のように凸凹しています。このカムの凸凹に合わせて、上下に動く小さな部品がカムフォロアです。 カムフォロアは、カムの山の峰が上に来た時に押し上げられます。そして、この押し上げられた力が、吸気バルブや排気バルブという、空気や排気の通り道をふさぐ扉を開け閉めする力に変換されます。扉を開けることで、新鮮な空気を発動機内に取り込み、燃えかすを外に出すことができるのです。カムフォロアは常にカムに接触しているため、カムの回転運動を正確に直線運動に変換し、バルブの開閉時期を精密に制御しています。 カムフォロアには、大きく分けて二つの種類があります。一つは、すり鉢状の形をした部品の中にカムが直接接触するタイプです。もう一つは、カムとフォロアの間に、小さなローラーが挟み込まれているタイプです。ローラーが付いていることで、摩擦が減り、より滑らかに動くため、発動機の回転数を高く保つことができます。 カムフォロアは小さな部品ですが、その役割は非常に重要です。もしカムフォロアが壊れてしまうと、バルブが適切なタイミングで開閉できなくなり、発動機の出力低下や異常燃焼につながる可能性があります。最悪の場合は、発動機が動かなくなってしまうこともあります。ですから、カムフォロアは、見えないところで発動機の性能を支える、縁の下の力持ちと言えるでしょう。
車の構造

クルマの空気抵抗を減らす工夫

車は空気の中を進む乗り物です。空気の中を進む以上、どうしても空気から抵抗を受けてしまいます。これを空気抵抗と言います。空気抵抗は車の燃費や走り方に大きな影響を与えるため、自動車を作る上でとても重要な要素です。空気抵抗が大きい車は、エンジンがより多くの力を使わなければならず、結果として燃費が悪くなります。また、速い速度で走っている時の安定性にも影響します。 空気抵抗には、大きく分けて圧力抵抗、摩擦抵抗、誘導抵抗の3種類があります。それぞれ異なる仕組みで発生し、車の形や速度によってその割合が変わってきます。まず、圧力抵抗とは、車の正面にぶつかる空気の圧力によって生まれる抵抗です。ちょうど、強い風が正面から吹いているようなイメージです。車の前面投影面積が大きいほど、圧力抵抗も大きくなります。次に、摩擦抵抗とは、車の表面と空気との摩擦によって生まれる抵抗です。人の肌が強い風を受けると抵抗を感じるように、車も空気との摩擦で抵抗を受けます。車の表面がツルツルであるほど、摩擦抵抗は小さくなります。最後に、誘導抵抗とは、車が空気中を進む時に空気の流れが乱れ、渦ができることで生まれる抵抗です。これは、車の後ろ側で発生しやすく、車の形によって大きく変化します。例えば、角張った車は渦が発生しやすく誘導抵抗が大きくなりますが、流線型の車は渦の発生が抑えられ、誘導抵抗を小さくすることができます。 このように、空気抵抗は様々な要因が複雑に絡み合って発生します。燃費の良い車、そして安全に快適に走れる車を作るためには、これらの抵抗を小さくするための工夫が欠かせません。それぞれの抵抗の発生メカニズムを理解し、車の形や表面の材質などを工夫することで、空気抵抗を小さくし、より優れた車を作ることができるのです。
機能

車の空気抵抗:摩擦抵抗を理解する

車は道を走る時、様々な抵抗を受けますが、その一つに摩擦抵抗があります。摩擦抵抗とは、読んで字のごとく、車が空気の中を進む時に、車体と空気との間で生じるまさつによって起こる抵抗のことです。まるで水の中を進むように、空気の中を進む車にも抵抗が働くのです。 空気は目には見えませんが、粘り気、すなわち粘度を持っています。そのため、車が空気の中を進むと、車体の表面に沿って空気が流れますが、その流れ方は均一ではありません。車体に接している空気は、車体にくっつくようにほとんど動きませんが、車体から離れるほど空気の流れは速くなります。ちょうど、川の流れの速さが、川底に近いほど遅く、水面に近いほど速いようなイメージです。 この空気の流れの速度差によって、空気の粘り気が抵抗を生みます。くっついて動かない空気と、速く流れる空気の間に、引っ張り合う力が生まれるのです。これが摩擦抵抗の正体です。摩擦抵抗は、車体の形や、表面のざらつき具合、空気の粘度、そして車の速度によって変わります。 例えば、表面がなめらかで、流線型の車は、空気の流れがスムーズなので、摩擦抵抗を小さくすることができます。反対に、表面がざらざらしていたり、複雑な形の車では、空気の流れが乱れて、摩擦抵抗が大きくなります。まるで、水の中を泳ぐ時に、抵抗の少ない流線型の体をしている魚と、抵抗の大きい四角い箱を比較するようなものです。 空気の粘度は温度によっても変わります。気温が高いほど空気の粘度は小さくなり、摩擦抵抗も小さくなります。また、当然のことながら、車の速度が速いほど、空気との速度差が大きくなるため、摩擦抵抗も大きくなります。これは、速く走るほど風の抵抗を強く感じるのと同じです。摩擦抵抗を減らすことは、燃費向上に繋がるため、自動車メーカーは様々な工夫を凝らしています。
機能

車の抵抗:摩擦抵抗を理解する

車は道路を走る時、空気の中を突き進むことになります。まるで水の中を進む船のように、空気という見えない流体をかき分けて進むわけです。この時、車の表面と空気の間で、動きを邪魔する力が生まれます。これが摩擦抵抗です。空気にも粘り気があるため、粘性抵抗とも呼ばれます。 空気は目には見えませんが、確かにそこに存在する物質です。そして、水のように粘り気を持ちます。そのため、車が空気の中を進むと、車の表面に沿って空気が流れようとします。この空気の流れと車の表面との間で摩擦が生じるのです。ちょうど、手に蜜を塗って物を握ると、滑りにくく感じるのと同じです。蜜の粘り気が摩擦を生み、動きを邪魔しているのです。空気もこれと同じように、目には見えないものの、粘り気によって車の表面に摩擦を生じさせています。 この摩擦の大きさは、車の表面積が大きいほど、また、車の速度が速いほど大きくなります。大きな板を水中で早く動かそうとすれば、それだけ大きな抵抗を感じるはずです。車と空気の関係もこれと同じです。ですから、燃費を良くするために、自動車を作る会社は、空気抵抗を減らすための様々な工夫をしています。例えば、車の形を滑らかにしたり、表面をツルツルにしたりすることで、空気との摩擦を減らし、より少ない力で車を走らせることができるように工夫しているのです。車の形が、時代と共に変化してきたのは、見た目だけでなく、このような理由もあるのです。