安全を守る縁の下の力持ち:ナックルストッパー
{自動車の向きを変える操舵装置には、タイヤの回転角度を制限する重要な部品が組み込まれています。}この部品は、一般的にこぶし止めと呼ばれ、操舵輪である前輪が過度に回転するのを防ぐ役割を担っています。
ハンドルを大きく切る状況を考えてみましょう。もし、こぶし止めが無ければ、タイヤは際限なく回転し、車体や周辺部品と衝突してしまう可能性があります。こぶし止めは、まさにこのような事態を防ぐための安全装置なのです。タイヤが回転できる範囲を適切に制限することで、タイヤやホイールハウス、サスペンション部品などとの干渉を未然に防ぎます。また、バンパーやフェンダーといった車体外板への接触も防ぎ、損傷のリスクを低減します。
こぶし止めは、主に金属でできており、頑丈な構造となっています。取り付け位置は、操舵輪に近い箇所に設定され、サスペンション部品と連動して作動します。ハンドルを切ると、サスペンションの動きに伴ってタイヤが回転しますが、一定の角度を超えるとこぶし止めが機能し、それ以上の回転を制限します。
こぶし止めの形状や大きさは、車種によって異なります。これは、車種ごとにタイヤの大きさやサスペンションの構造が異なるため、最適な制限角度を設定する必要があるからです。設計者は、自動車の旋回性能と安全性を両立させるため、綿密な計算に基づいてこぶし止めの仕様を決定します。
小さな部品ながらも、安全な自動車の走行に欠かせない重要な役割を担っているこぶし止め。普段は目に触れる機会が少ない部品ですが、自動車の安全性を支える縁の下の力持ちと言えるでしょう。