車の乗り降りを支える縁の下の力持ち:キックプレート
車の乗り降りの際、何気なく目にしている敷居部分の金属製の板。これがキックプレートです。正式にはスカッフプレートと呼びますが、一般的にはキックプレートの呼び名の方がよく使われます。まるで靴で蹴飛ばしてしまうかのように見えることから、キックプレートと呼ばれるようになったとも言われています。このキックプレート、車の乗り降りの際に靴でこすって傷つけてしまう敷居部分を保護する大切な役割を担っています。靴底の砂や小石、かかとの金具などが車体に直接当たってしまうと、塗装が剥がれたり、傷がついてしまったりします。キックプレートはこのような損傷から車体を守り、美観を保つのに役立っているのです。意外と知られていないことですが、このキックプレートの歴史は古く、馬車が主流だった時代にまで遡ります。当時の馬車は木製の骨組みで作られており、乗り降りの際に靴で敷居部分を傷つけやすいという問題がありました。そこで、敷居部分を保護するために鉄板などを取り付けるようになったのです。キックプレートは、まさにその名残であり、現代の車にも受け継がれている伝統的な部品と言えるでしょう。現在の車のキックプレートは、主にステンレスやアルミなどの金属で作られています。これらの素材は強度が高く、傷つきにくいという特徴があります。また、表面に模様や車の名前が刻印されているものもあり、車全体のデザインのアクセントとしても重要な役割を果たしています。さらに、一部の車種では炭素繊維や合成樹脂製のキックプレートも採用されており、軽さと強度、そしてデザイン性を両立させているものも見られます。単なる保護板ではなく、車の個性を演出する部品としても進化を続けているのです。