斜歯ギヤ

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エンジン

静かなエンジンを実現するはさみ歯車

はさみ歯車、またの名を挟み歯車とは、名前の通り、はさみのように歯車を組み合わせることで、静かでなめらかな回転を生み出す仕組みです。斜めに歯が刻まれた斜め歯車を二つに分け、間にばねを挟むことで、それぞれの歯車が相手の歯車をしっかりと挟み込む構造となっています。この挟み込む動きによって、歯車同士の隙間、いわゆる遊びをなくすことができるため、回転時のガタつきや騒音を大きく減らすことが可能になります。 従来の歯車では、どうしても回転時に遊びが生じてしまい、これが騒音や振動の発生源となっていました。はさみ歯車は、この問題を解決する画期的な技術と言えるでしょう。挟み込む力によって歯車がしっかりと噛み合うため、回転がより正確になり、伝達効率も向上します。また、歯車の接触面積が増えることで、耐久性も向上するという利点もあります。 特に、高速回転する機械の内部では、この騒音や振動を抑えることが重要であり、はさみ歯車の採用は機械の静音性向上に大きく貢献しています。例えば、自動車のエンジン内部では、多数の歯車が噛み合って動力を伝達していますが、これらの歯車にはさみ歯車を採用することで、エンジンの静粛性を高め、快適な乗り心地を実現しています。その他、精密機器や工作機械など、静音性や高精度が求められる様々な分野で、はさみ歯車は活躍しています。 従来の歯車に比べて製造コストは高くなりますが、その優れた性能から、今後ますます需要が高まることが予想されます。はさみ歯車は、静音性、高精度、高効率、高耐久性といった多くの利点を兼ね備えた、次世代の歯車技術と言えるでしょう。