暖機運転:車は準備運動が必要?
暖機運転とは、車を動かす前に、エンジンを少しの間、低い負荷で動かすことを言います。いわば、人間の体で言うところの、運動前の準備運動のようなものです。 エンジン内部の温度が低い状態から、なめらかに動くのにちょうど良い温度まで上げるために行います。
エンジンオイルは、温度が低いと粘度が高く、まるで蜂蜜のようにドロドロしています。この状態でエンジンを急に高回転で回すと、各部品に大きな負担がかかり、摩耗を早めてしまう原因になります。暖機運転を行うことで、オイルの粘度を下げ、エンジン全体にオイルが行き渡るようにし、各部品の動きを滑らかにします。 これにより、エンジンの摩耗を減らし、寿命を延ばすことに繋がります。
近年の車は技術が進歩し、以前ほど長い時間暖機運転をする必要性は少なくなってきました。電子制御装置の発達により、エンジンの状態を細かく制御できるようになり、冷えた状態でも効率よく燃焼できるようになっています。 しかし、だからといって暖機運転が全く不要になったわけではありません。
特に気温が低い冬場などは、エンジンオイルの粘度がより高くなるため、暖機運転の効果が大きくなります。外気温が氷点下になるような真冬では、数分間の暖機運転を行うことで、エンジンへの負担を大幅に軽減できます。また、長期間車を動かしていない場合も、エンジン内部のオイルが下に落ちてしまっているため、暖機運転をしてオイルを循環させることが重要です。
適切な暖機運転の時間は、車の種類や外気温、エンジンの状態によって異なります。 一般的には、水温計の針が動き始めるまで、もしくはアイドリング音が安定するまでが目安となります。 近年の車であれば、長くても1分程度で十分でしょう。過度な暖機運転は、燃料の無駄遣いになるだけでなく、環境にも悪影響を与えます。車の取扱説明書をよく読んで、適切な暖機運転を行い、車を大切に長く乗りましょう。