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規制

環境確保条例:首都圏の大気を守る取組み

首都圏は、人が多く集まり、様々な産業活動が盛んな地域です。しかし、その活気の裏側で、深刻な大気汚染の問題が潜んでいました。特に、工場や事業所からだけでなく、多くの車が走る道路からも、様々な物質が大気中に排出されていました。中でも、ディーゼル車から排出される粒子状物質(PM)は、とても小さな粒子であるため、呼吸をする際に肺の奥深くまで入り込み、ぜんそくや気管支炎などの呼吸器系の病気を引き起こすことが心配されていました。 こうした大気汚染の深刻さを受けて、国は自動車から排出される窒素酸化物や粒子状物質の量を規制する法律(自動車窒素酸化物・粒子状物質法)を定めました。しかし、この法律だけでは、首都圏特有の事情に合わせた対策をとることが難しかったのです。首都圏は、地形や気候条件などから、大気汚染物質が拡散しにくいという特徴がありました。また、人口や車の数が非常に多いため、国が定めた基準だけでは、住民の健康を守るのに十分な効果を期待することが難しかったのです。 そこで、東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県の1都3県は、協力して独自の対策に乗り出すことにしました。それが、首都圏の大気をきれいに保ち、そこに住む人々の健康を守るための環境確保条例です。この条例は、国の法律ではカバーしきれない部分も補い、首都圏の地域特性に合わせた、より厳しい規制を設けることで、大気汚染問題の解決を目指したのです。人々の暮らしを守り、安心して暮らせる環境を未来に残していくために、この条例は大きな役割を担うことになりました。